電子書籍:ツイッター上で「立ち読み」…サービス開始
毎日新聞 2014年07月02日 18時38分(最終更新 07月02日 19時45分)
出版大手KADOKAWAは2日、ツイッター上で電子書籍を「立ち読み」できるサービスを開発したと発表した。グループの角川アスキー総研が運営し、同日から開始した。KADOKAWAの角川歴彦会長は記者会見で「世界初のサービス。本を読んだ感想をツイッター上で共有することで買いたくなる、読みたくなる、という購買意欲につながったらうれしい」と話した。
新サービスは、ツイッタージャパンの協力を得て開発した。ツイッターのタイムラインに、サイト(http://tw-epub.com/)上で公開されている電子書籍(規格はEPUB)を表示し、中身の一部を読むことができる。立ち読みを終えると、本を販売するサイトへのリンクが表示され、そこへ行けば購入できる仕組みだ。
ツイッターのフォロワーに「お勧めの本」の紹介などもできるようになり、ユーザー同士でコメントや感想をツイートしてもらうことで、書店での売り上げ増や電子書籍市場の拡大を狙う。
同総研の調査では、この1年間書店に行かず、紙の本をほぼ買わないと答えた人が回答者の約50%に達し、さらに「電子書籍を買わない」人も約90%だった。角川会長は「編集者が納得できる本だけを作る時代は既に終わった。どうやって読者の共感を得て、感動を共有していくかを考えることが重要だ」と述べた。
将来的な展望として、このサービスを「出版界全体で共有していきたい」と話し、KADOKAWA以外の出版社の作品も順次、サイトに掲載していく方針を示した。既に掲載希望が2万点以上あるという。
ツイッター社によると、日本では10代、20代の若年ユーザーが多く、増加傾向にある。同社の牧野友衛執行役員は「ツイッターは漫画などに関するツイートも多い。誰かが紹介した作品をフォロワーが立ち読みすることで、思いがけない新しい出会いもあるのではないか」と話している。【石戸諭/デジタル報道センター】