東松島・住民複雑「復興、原発問題が先…」 集団的自衛権閣議決定
自衛隊は東日本大震災で捜索や復旧活動に貢献した。被災地の宮城県東松島市は、航空自衛隊松島基地を抱え、「基地のまち」でもある。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権行使を容認する閣議決定に、住民は複雑な思いを抱いた。
松島基地から北東に約1キロの矢本運動公園仮設住宅。今も300世帯以上が暮らす。1日は飛行訓練が行われなかったが、普段は曲技飛行隊「ブルーインパルス」などの機体も見える。仮設住宅に住む男性(65)は「復興が進んでいない地域や、福島第1原発の問題もある。海外での戦争に予算や人員を充てる前に、国内の課題解決が先」と政府の動きをいぶかった。
基地と地域の結び付きは、航空祭などを通じて以前から強かった。基地も被災したが、隊員は救難活動などに当たった。
「震災後は、被災地を支援する隊員の姿を見て入隊した人もいると思う。志願者が減るのではないか」。男性は自衛隊の先行きも案じた。
「松島基地も海外から見れば軍の基地。攻撃を受ければ住民も犠牲になる恐れがあり、自衛隊の力を強くする必要があると思っていた」と話したのは仮設住宅の隣に住む男性(70)。閣議決定に理解を示しつつ、「実際に武力行使する可能性は限りなく低いと思う」と語った。
2014年07月02日水曜日