内閣の定例閣議は火曜と金曜にある。非公開だが、閣僚はサインを終えると役所に戻って記者会見する。意思決定の円卓会議とされる場も、おおかた流れが決まっているせいか、さらりとしている
 ▼6月下旬に閣議決定されたのは、エネルギー白書や科学技術白書など毎年の調査ものだった。閣議決定の重みに疑問符の付くことは珍しくない。「日本は2番目じゃ駄目なんですか」。民主党政権の目玉だった事業仕分けは流行語になった▼ところが無駄な予算に切り込む勇ましさは1年たたないうちに色あせる。各省が反撃に転じ言うことを聞かなくなった。仕分けをする行政刷新会議は閣議決定で置かれたため、法的な位置づけや権限が曖昧とされた
 ▼法的根拠のない軽さに、刷新会議の事務職員はぼやいたものだ。「強制力がないんです。国会で法定組織と認められれば別ですが」。武力で集団的自衛権を使えるようにする決定を、政府は今日にも下す。政権によって移ろい動くあやふやな閣議決定の形で▼立憲主義国というのは、権力が憲法の制約に縛られて政治を行い、国民の声を聞いて調和を図るものだろう。なし崩しに進み、他国の助けに行かされる自衛隊員の心中はいかに。「国策には黙して語らず」と教わる彼らも穏やかでないはずだ。
2014年07月01日火曜日