ジュール・リメ・トロフィーにキスをするブラジル代表のぺレ Popperfoto/Getty Images
1、ワールドカップ(W杯)では、第1回大会となる1930年から70年の第9回大会まで、国際サッカー連盟(FIFA)の会長を務めたジュール・リメ氏にちなんだ「ジュール・リメ・トロフィー」をかけて争われた。
2、FIFAはW杯開催国に最低8カ所の会場で試合を行うことを求めている。建設に手間取ったブラジルは12のスタジアムを作った。
3、1950年のブラジル大会では誰もがブラジルの優勝を信じて疑わなかった。そこでFIFA会長はポルトガル語で祝辞を用意していたが、ウルグアイに2-1で破れ、優勝を逃してしまった。
4、W杯で連覇を果たした代表チームは2カ国のみ。1934年と38年を勝ち抜いたイタリアと、58年と62年のブラジルだけだ。
5、W杯全大会に出場しているのはブラジルのみ。今大会を含め、20大会連続での出場となる。
6、ブラジル代表がW杯で常に強豪だった訳ではない。ウルグアイ(1930年)とイタリア(34年)で開かれた最初の2大会は惨たんたる成績に終わった。ウルグアイ大会ではブラジル国内の政治抗争がチームを弱体化させ、イタリア大会では2週間にわたる船旅が選手を疲弊させた。ブラジルがブラジルらしくなったのは58年大会(スウェーデン)からだ。
7、今回のW杯ではボスニア・ヘルツェゴビナが唯一の初出場国となった。ただ、初出場国にとってのW杯は厳しい道のりだ。過去5大会で22チームが初出場を果たしたが、グループリーグを突破したのは7チームのみ。初出場国の成績は勝利が23、ドローが8、負けが47となっている。
1試合での最多得点記録を持つロシア代表オレグ・サレンコ(左) Agence France-Presse/Getty Images
8、1試合での最多得点記録はロシアのオレグ・サレンコ。1994年の米国大会で、カメルーン戦で5得点を記録した。
9、ジュール・リメ・トロフィーは第2次世界大戦の戦渦の中でもFIFAによって守られてきた。ただ、ブラジルが1970年に3回目の優勝を果たした偉業をたたえて同国に永久保持の権利が与えられた後、盗難にあった。現在のトロフィーが使われるようになったのは74年大会から。
10、FIFAは今大会前に代表チームのバスに掲げられるスローガンをサポーターに選んでもらうコンテストを開始した。選ばれたスローガンにはオランダ代表のように気の利いた「真の男はオレンジを着る」(Real men wear orange)、コートジボアールの鼓舞するような「象たちはブラジルに突撃!」(Elephants off to conquer Brazil!)などがある。また、オーストラリアの「サッカルーよ、歴史の中に飛び込め!」(Socceroos: Hopping into history!)のように、恐らく「カンガルー」と「サッカー」をかけた標語も。フランスのスローガンは「フランス語の辞書に不可能はない」(Impossible is not a French word)だ。確かにフランス語に「impossible」を当てはめるのは不可能だ。
11、W杯開催国が優勝したケースは過去に6回。1930年のウルグアイ、34年のイタリア、66年のイングランド、74年の西ドイツ、78年のアルゼンチン、98年のフランスだ。
2010年大会で優勝トロフィーを掲げるスペイン代表イケル・カシージャス Getty Images
12、南米で開催された4度の大会(1930年、50年、62年、78年)では、すべて南米の代表チームが優勝している。スペインが4年前の南アフリカ大会で優勝するまで、欧州の代表がヨーロッパ以外の開催国で優勝したことはない。
13、32チームで争われるW杯は今回が最後になる可能性も。FIFAは2018年ロシア大会から参加チームを40に増やす計画だ。
14、W杯に参加した国・地域の数は約83に上るが、数え方はややこしい。旧ソビエト連邦やザイール(現コンゴ民主共和国)、オランダ領東インド(ほぼ現在のインドネシアに当たる)など、少なくとも7カ国・地域がなくなるか名前が変わっている。
15、各サッカー連盟によってW杯出場のルールが異なるため、ブラジル大会への道のりが長かったチームがある。ウルグアイが最も厳しく、W杯出場まで18試合をこなさねばならなかった。一方、スペインは8試合だけで出場権を獲得した。
16、2010年大会で優勝したスペインは賞金3000万ドル(約30億7500万円)を持ち帰った。今年のブラジル大会では優勝チームに賞金3500万ドルが用意されており、02年の日韓大会でブラジル代表が獲得した金額の約3倍に上る。
17、1954年のスイス大会まで、W杯がテレビ放送されることはなかった。2010年の南ア大会の決勝戦は、米国だけで2430万人がテレビを視聴したと推計されている。
18、W杯の神様がいたずらした例として、1950年大会で米国が1-0でイングランドに勝利し、66年大会で北朝鮮がイタリアに1-0で勝った2試合が、必ずと言っていいほど挙げられる。今年の大会ではコスタリカがスペインを破るという珍事が起きるだろうか?
19、W杯主催国の面積では、ブラジルは1994年にホストを務めた米国に次ぐ2番目の広さを持つ。
20、過去5回の決勝戦で、規定時間内に勝敗がついたのは2回のみ。1994年と2006年大会はペナルティキック(PK)、10年大会はスペインが延長後半に勝利を決めた。
21、今年は、ボールがゴールラインを割ったかどうかを判定する機械が導入される初めての大会となる。これ以外では、審判の判断に立ち入ることは不可能。ビデオ判定も用いられない。
レッドカードを受けるアルジェリア代表のアブデル・カデル・ゲザル(手前) Associated Press
22、イエローカードやレッドカードが初めて導入されたのは1970年大会。英国の審判が導入を提言した。
23、現在のように16チームが決勝トーナメントを争う形式は1986年に導入された。決勝トーナメントでは、全試合の約3分の1で規定の90分以内に決着がつかなかった。全112試合のうち、延長戦で勝敗が決まったのは14試合、PKまで持ち込まれたのが21試合だった。
24、FIFAによると、今大会では出場するだけで全チームに800万ドルが支給され、諸経費として追加で150万ドルが支払われるという。
25、1大会での最多得点は、1958年大会でフランスのジュスト・フォンテーヌが記録した13得点。以後56年、この記録は破られていない。
26、観客動員数では1994年の米国大会が最多で、1試合平均6万8991人を記録した。
27、過去19大会、優勝トロフィーを掲げたときに着ていたユニフォームの色がダークブルーあるいはロイヤルブルーだったのが、イタリアやフランス、スペイン、ブラジルなど7チーム。赤を着ていたのは1966年のイングランドのみ。
28、ドイツはW杯で4回あったPK戦に負けたことはない。逆にイングランドは3回のPK戦に勝ったことがない。
29、W杯決勝にグローブを付けて出場したキーパーは、1974年大会の西ドイツ代表ゼップ・マイヤーが最初だとされている。それ以前、ゴールキーパーは全員、素手でプレーしていた。
40歳で優勝を経験したイタリアのディノ・ゾフ Agence France-Presse/Getty Images
30、最も会場が多かったのが1982年スペイン大会で、14都市で17カ所のスタジアムが使われた。半面、最もコンパクトだったのは30年のウルグアイ大会で、スタジアムは3カ所のみ。そのすべてが首都モンテビデオに集められていた。
31、今大会の決勝が行われるマラカナン競技場の収容人数は約7万5000人。1950年大会の決勝で、同じ競技場に詰め掛けた17万4000人の半分にも満たない。
32、W杯で優勝を経験した最年長選手はイタリアのゴールキーパー、ディノ・ゾフ。1982年の優勝時の年齢は40歳だった。
33、FIFAによると、W杯出場選手のジャージに付けられる番号は1から23までに限定される。1番はゴールキーパーしか付けられない。
34、今大会の出場国で最も国歌が長いのがギリシャで、158番まである。小節の多さでは、105小節のウルグアイに軍配。ただ、FIFAは国歌をすべて斉唱することを認めておらず、90秒を超えてはならない。
アディダスがデザインしたボール F. Martin Ramin/The Wall Street Journal
35、優勝したことがなく決勝戦で敗れた回数が最も多いのがオランダの3回(1974、78、2010年)。ドイツは西ドイツ時代をあわせると、決勝で4回負けたが3回勝っている。
36、1930年の初のW杯決勝では、ウルグアイがアルゼンチンを4-2で破って優勝した。
37、W杯に出場した最も小さい国は2006年のトリニダード・トバゴ。人口は120万人。
38、ドイツのスポーツ用品大手アディダスは1970年から全大会の公式ボールをデザインしている。最初のアディダスモデルは「テルスター」と呼ばれ、黒色の五角形と白色の六角形で構成された。テレビでボールを見分けやすくするのが目的の一つ。
39、2014年大会の最初の地区予選は、11年6月15日に北中米カリブ海地域で実施されたベリーズ対モントセラトの試合。ベリーズが5-2でモントセラトを下した。
FIFAワールドカップのトロフィー Agence France-Presse/Getty Images
40、W杯トロフィーの重量は13.6ポンド(約6.17キログラム)で、米スーパーボウルの勝者に与えられる「ロンバルディ・トロフィー」のほぼ2倍の重さ。ただ、UEFAチャンピオンズリーグのトロフィーよりは4ポンド軽い。
41、W杯に5回出場した記録を持つのは、メキシコのアントニオ・カルバハルとメキシコのローター・マテウスの2人のみ。マテウスは1990年大会で優勝を経験した。
42、1試合で10ゴール以上を記録したのは過去5回。これには1954年にオーストリアがスイスに7-5で勝利した試合が含まれる。1982年以降、両チームの合計得点が2桁に達した試合はない。
43、優勝チームにはほぼ純金製のトロフィーが授けられる。2位と3位のチームにはメダル、4位には賞状が与えられる。
44、W杯に1回以上出場して1勝も挙げていない唯一の国がエルサルバドル。大会では1ゴールしか決めていない。
45、W杯で最も多くの得点を挙げたのはブラジル。過去97試合で210ゴールを決めている。
46、無失点でW杯敗退となった唯一の国はスイス。2006年スイス大会の決勝トーナメント1回戦でウクライナにPK負けを喫した。
47、グループリーグで同点の場合、順位の優劣をつけるためFIFAは得失点差や直接対決での勝敗など6通りの基準を定めている。最終的な決め手は抽選だ。
W杯初のマスコット、ライオンの「ウィリー」 Keystone/Getty Images
スペインの新生物マスコット「Naranjito」 Bob Thomas/Getty Images
48、W杯に初めてマスコットが登場したのが1966年のイングランド大会。名前は「ワールドカップ・ウィリー」で、ユニオンジャックのジャージを着たライオンだった。それ以降、公式マスコットの5つが動物、2つが子ども、1つが棒状のもの、1つがエイリアン3人組、2つが新生物だった。新生物の一つがスペインの微笑むオレンジ「Naranjito」、もう一つがメキシコの「ピケ」。ピケはメキシコのつばの広い帽子「ソンブレロ」をかぶる、ひげを生やしたチリペッパーという生き物だ。
イタリアのマルコ・マテラッツィに頭突きするフランスのジダン Reuters
49、W杯でペナルティーを受けた回数が最も多いのがフランスのジネディーヌ・ジダン。3大会12試合でイエローカード4回、レッドカード2回を受けたが、これには2006年大会の決勝で有名となった「頭突き事件」が含まれる。ブラジルのカフーもペナルティの数ではジダンに並び、4大会でイエローカードを6回受けた。
50、英国のブックメーカーによると、今大会の優勝チーム最有力候補はブラジル。僅差でアルゼンチンとドイツが追っている。最も可能性が低いのはホンジュラスで、オッズは2500倍。