「戦争をさせない北海道大集会」にて
今、私はこの原稿を書きながらも、怖くて怖くて仕方ない。この原稿がアップされる7月2日、既に「閣議決定」がなされていたら・・・と思うと、生きた心地がしないからだ。
そんな今日、6月29日は、「アベ自民いやね! 激おこぷんぷんマーチ」に行ってきた。
途中で豪雨に見舞われたものの、今まで参加したどのデモより、「沿道の反応」が良かった。
こちらに向かって走り寄りながら手を振ってくれる女性。「憲法解釈勝手に変えるな!」「集団的自衛権やめろ!」というコールに一緒に声を上げてくれる人たち。その姿に、どれほど励まされただろう。
その前日には、札幌で開催された「戦争をさせない北海道大集会」に参加した。
土曜日の昼、遮るもののない炎天下、大通り公園に集まったのは5500人以上!!
集会では札幌市長が「憲法9条」をロックに乗せたという自作の曲をシャウト。高橋哲哉さんや私もアピールし、集会のあとはデモに出発! 先頭で横断幕を持っていたのだが、デモが到着地点に着いたあと、どこまでもどこまでも続く隊列を目の当たりにして、思わず涙ぐみそうになった。
その前日夜に開催された札幌のシンポジウムもすごかった。500人しか入れない会場に700人以上が詰めかけ、入れない人が続出したのだ。
そんな2日間の北海道行きで、改めて感じたことがある。18歳まで育ち、今も両親と2人の弟が暮らす北海道は、「自衛隊員」との距離があまりにも近いということだ。
日常会話の中に、当たり前に「あの人、イラクに派遣されてたんだよ」という言葉が出てきたかと思えば、「イラクに行った人はいくら貰えた」なんて噂話も飛び交っている。もし、集団的自衛権の行使が容認されたら。そんな話題になると、「北海道の自衛隊が一番先に危険な目に遭わされるのではないか」という懸念を多くの人が共有している。何か、今、強行されようとしている解釈改憲と「自分たちの生活」が、実に密接にリンクしているのだ。
札幌のシンポジウムには、イラク戦争当時、内閣官房副長官補をつとめ、自衛隊派遣の実務責任者だった柳澤協二氏も登壇した。柳澤氏が語っていた言葉で印象的だったのは、派遣された自衛隊員のうち、27名がその後自殺している、ということだった。この事実を、どれほどの人が知っているだろう。恥ずかしながら、私はまったく知らなかった。
私たちは、イラク戦争や湾岸戦争、ベトナム戦争に従事した米軍兵士たちが重いPTSDに苦しんでいることは知っている。
しかし、「イラクに派遣された自衛隊員」の苦しみについて、今まで思いを馳せてきただろうか? 少なくとも、私はこの点に関して、まったく想像が及んでいなかった。が、こうして奪われている命が既にあるのだ。
それぞれの死について、詳しいことはわからない。取材したい、と思って、ふと気づいた。特定秘密保護法が成立したこの国で、「イラクに派遣された自衛隊員の自殺についての取材」はどこまで可能なのだろう? こんなことを思うと、今の時点でさえ、私たちは相当取り返しのつかない場所にいるのだと思う。
さて、そんな北海道から東京に戻った翌日の今日、デモ出版地点の柏木公園に着いたところで、Twitterでのある「呼びかけ」に気づいた。それは「バンギャ」(ヴィジュアル系バンドが好きな女子の総称)に対してのもので、それを読んだ瞬間、「この手があったか!」と思わず大興奮。
「バンギャのみなさんご協力を!」から始まるtweet文には、「集団的自衛権行使容認されたら麺が徴兵されるかもしれない」「バンギャ終了です」といった言葉が続き、今日のデモについての情報を拡散してくれていたのだ。
ちなみに「麺」とは、ラーメンでもつけ麺でもイケメンでもなく、「(ヴィジュアル系)バンドマン」を指す隠語である。
「アベ自民いやね!」デモに登場したクラウンアーミー
私もバンギャ歴20年以上を誇るわけだが、麺サマが徴兵なんてされようものなら長く続いたバンギャ人生は確実に終了だ。しかも、自分の目当ての麺サマが徴兵されなくても、バンド内で一人でも徴兵されたら解散や活動休止といった事態になるだろう。この「徴兵によってバンド終了」という事実は、徴兵制が導入されている韓国で実際に起きていることである。
韓国の徴兵制については、以前「韓国・徴兵制なんて嫌だ! ある若者の闘い」で、全6回に渡り書いてきた。身体的に問題があって徴兵を免除されない限り、ほぼ100%の確率で徴兵される韓国の男性たち。陸軍、海軍によって違いはあるが、徴兵期間は2年以上。徴兵を拒否すれば、待っているのは1年半の刑務所暮らしだ。
また、徴兵拒否・忌避は「その後就職できない」などの「社会的な死」を当人にもたらす。その上、軍隊内でのいじめも凄まじく、08年には軍隊内で75人が自殺。それだけでなく、「徴兵に行くくらいなら死んだ方がマシ」と、入営日前に自殺する若者もあとを絶たないという。
そんな徴兵が嫌で、日本にやってきたキム・ソンハ氏と出会い、取材して原稿を書いたのが5年前。まさかその5年後、この国で本気で徴兵制を心配するような事態になることを、誰が想像しただろう? ちなみにキムソンハ氏が当時、徴兵に反対したもっとも大きな理由は「バンドがやりたい!」ということだった。彼は当時、こう語っている。
「日本人が徴兵行けって言われたら嫌でしょ? そういう気持ちですよ。政治的な思想があるというよりは、バンドがやりたいとかそういうこと。だって韓国ではバンドのメンバー集めたら、必ず1人は徴兵に取られる。そっから始まってるんですよ。バンドが続かない。日本の映画とか見てて、一番うらやましかったのはバンドができるってことですね。あと、徴兵の話が出てこない」
そんな徴兵に対して真っ正面から抵抗した場合、どんなことが起きるのか。
「前、冗談で、みんなで徴兵がそんなに嫌ならストライキすればいいじゃないかって言ったんですけど、軍人は民間人じゃないからそんな権利はもちろんないし、軍事裁判で反乱罪とかになるに間違いないだろうから、死刑もありうるわけですよね」
そうなのだ。徴兵制がある社会、軍隊がある社会は軍事法廷があり、そこで裁かれた人に反乱罪などが適用され、死刑になる可能性がある社会である。
そんな韓国の徴兵制は、名だたる「韓流スター」にもなんの手加減もないことを多くの人が知っている。
少し韓国の状況を書いただけで、暗澹たる気持ちが襲ってきた。
もし、日本に徴兵制が導入されたら。世界に誇るヴィジュアル系文化は衰退の一途を辿るだろう。なぜなら、ヴィジュアル系は肌が白く、身体は細く、軍隊っぽい筋肉など絶対についていてはいけないからである。その上、髪もキレイでサラサラでなくてはいけないのである。肌だって、その辺の女子より手入れが行き届いていないとダメだ。軍隊なんかに行ったら、そのすべてが失われてしまうではないか。
抵抗すべきはバンギャだけではない。ジャニヲタだって、スポーツ選手のファンだって 、それ以外のすべての「徴兵されそうな年齢層の男性」のなんらかの「ファン」「支持者」である人々は、うかうかしていられないはずだ。
もちろん、身近な男性を思って「徴兵反対」と言えるリア充な人は、それはそれでそのままの方向でよろしくお願いしたい。
ああ、それにしても、「戦争をさせない」というタイトルの集会を開かなくちゃいけなかったり、5年前にはスルーできた「徴兵」という言葉がリアリティを持って迫ってきたりと、この国は、少し前までだったら考えられないような場所に既に来ている。
どうしたって、私たちの力で、踏みとどまらなければならない。
私の輝かしいバンギャ人生を決して終わらせないためにも!!
クラウンアーミーから配られた赤紙
一見何の関係もなさそうな「戦争」と「バンギャ」。だけど、いま私たちが当然のものとして享受している、身近な喜びを破壊するのが「戦争」です。おいしいものを食べる、おしゃれを楽しむ、好きな人と一緒に過ごす…仮に徴兵制には至らなかったとしても、日本が海外での戦争にもっと積極的に踏み込んで、日本がテロの標的になるようなことがあったとき、私たちのそんなささやかな楽しみは、いつまで守られるでしょうか?
〈この国は、少し前までだったら考えられないような場所に既に来ている〉ことを思えば、大げさな、とはとても笑えません。それぞれの「大事なもの」を守るために、全力で抗い続けるしかない。閣議決定は強行されたけれど、立ち止まってはいられません。
先進国になればなるほど兵器などは、最新鋭のコンピューターみたいなものなので、
事実上正規の軍隊を養成するのに5年以上かかるらしい。
先進国になればなるほど徴兵制は正規の軍隊(日本で言えば自衛隊)の足手まといになるし。
「体」だけではなく「頭」も必要で、徴兵自体ナンセンスなんじゃないかなあと思いますが、
このサイトでの労働問題で、
非正規などの「最底辺から抜け出せない人々」を増やしてるってのは、
徴兵制の準備なのかどうなのか・・・?