Updated: Tokyo  2014/07/02 18:34  |  New York  2014/07/02 05:34  |  London  2014/07/02 10:34
 

脱ワーストへ日本株の戻り急、4-6月好調裏にGPIF期待

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  7月2日(ブルームバーグ):先進国市場で1-3月を最悪の成績で終えた日本株が、4-6月は反発色を強めた。アベノミクス相場が始まって以降、株高のエンジンだった為替の円安が見られない中、投資家が再評価したのは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革への期待、消費税増税後の景気に対する安心感からだ。

ソシエテ・ジェネラル証券の小原章弘セールス・トレーディング・グループディレクターは、日本株にとって日本銀行の役割が終わり、市場の注目がGPIFに移行していると指摘。GPIFのアセットアロケーション変更は、「9月くらいに前倒しでやってくる」と予想した。

4-6月のTOPIX は5%上昇した。上昇率は先進国24市場の中でノルウェーの10%、カナダの5.7%、スペインの5.6%、デンマークの5.5%に次ぐパフォーマンスで、4.7%の米国、2.9%のドイツなどを抑えた。1-3月は7.6%下げ、日本は圧倒的なワースト市場だっただけに、直近四半期の回復ぶりは顕著だった。

2013年のTOPIXは51%上昇し、ITバブルの1999年以来の上昇率を記録するとともに、24市場でベストパフォーマーとなった。安倍政権の経済政策、日銀の量的・質的金融緩和策を通じデフレ脱却への期待が高まったためで、為替市場では日銀の異次元緩和に反応し、ドル・円相場が21%円安・ドル高に振れ、自動車や電機など輸出セクターを中心に企業業績を押し上げた。業績改善はTOPIX採用銘柄の1株利益を上昇させ、PERの低下 から株価の評価余地も生まれた。

脱円安依存、3兆円超の買い余力

一方、4-6月のドル・円は2%円高に振れた1-3月に続き、1.8%円高が進行。日銀の追加金融緩和期待が薄れている上、米国は量的緩和策の縮小(テーパリング)が継続しているものの、低金利状態は長期化するとの見方が背景にある。円安トレンドの一巡で企業収益の伸びも鈍化する見通しの中、新たな相場のプラス要因として浮上してきたのがGPIF改革の動きだ。

政府が6月24日に閣議決定した日本再興戦略改訂版の中で、日本の稼ぐ力を強化する一環として、GPIFの基本ポートフォリオ変更の速やかな実施に言及した。大和証券投資戦略部の三宅一弘チーフストラテジストは、「公的、準公的資金の株式ウエートの変更は今後継続的に進むので、株式需給はかなり良くなるだろう」とみている。

ブルームバーグ・ニュースが5月に行った調査では、市場参加者は国内株式の基本ポートフォリオ比率が現在の12%から20%に引き上げられ、国内債券は60%から40%に引き下げられると予想した。国内株では基本比率に対しプラス・マイナス6%の乖離(かいり)許容幅が設けられており、昨年末時点の国内株運用資産は22兆円、比率は17.2%となっている。仮に基本比率が20%に引き上げられた場合、およそ3.5兆円の買い余力が生まれる計算だ。

信託銀買い越し続く

日本株市場で、年金資金の買いに対する期待が高まっている理由の1つとして、東京証券取引所が毎週公表する需給データも挙げられる。年金基金などの動向を映すとみられている信託銀行 は、6月3週(16-20日)まで8週連続で日本株を買い越しており、5月月間の買越額は6873億円と09年3月以来、5年ぶりの高水準を記録した。

みずほ信託銀行の浅岡均シニアストラテジストは、国内株式のウエートのみならず、外貨建て資産の比率が引き上げられる可能性にも注目している。「恒常的に円売りフローを発生させるので、ドル高・円安が定着しやすくなり、日本株は買いになるというシナリオを描いている人が増えてきた」と言う。ブルームバーグ調査によると、市場関係者は外国債券の比率が現行の11%から14%、外国株は12%から17%に引き上げられると予想する。

4-6月のTOPIXパフォーマンスを月間ごと に見ると、消費税増税を実施した4月は3.4%下げたが、5月に3.4%上昇、6月は5.1%上昇と特に6月相場の強さが際立った。ソシエテ証の小原氏は、「増税の影響は思ったより大きくなく、株価にプライスインされている。そうなると、日銀も追加緩和をやる必要がない」と述べ、景気不透明感の払拭(ふっしょく)がGPIFと並ぶ相場の押し上げ要因との認識だ。

1日に日銀が公表した企業短期経済観測調査(短観、6月調査)では、大企業・製造業の業況判断DIが前回3月の17から12へ6四半期ぶりに悪化したが、先行き予測は15と回復が見込まれている。また、14年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比7.4%増と、前回調査(0.1%増)から上方修正された。「消費税増税の影響を乗り越えられる可能性が高いというのが経済指標で示唆され、企業のコメントもそれを支持するような内容だ」と、大和証の三宅氏は指摘している。

SMBC日興証券株式調査部の圷正嗣ストラテジストは、4-6月上昇後の日本株はまだGPIFの国内株式比率引き上げの可能性を織り込み切っておらず、「数字が実際に出てから買い向かう動きはある。さらに、業績や海外に対する出遅れはまだまだ修正されていない」とみる。ブルームバーグ・ニュースが証券会社、運用会社のストラテジスト、ファンドマネジャーらを対象に毎月行う調査では、14年末のTOPIXは6月末時点から11%上昇すると見込まれている。

2日の東京株式相場は、前日の米国市場で発表された供給管理協会(ISM)の製造業景況指数、自動車販売の堅調で米景気の先行き期待が広がったほか、欧米株高を受けたリスク選好の買いも入り、TOPIXが3日続伸。日中ベースでは、1月23日以来の高値水準にある。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 竹生悠子 ytakeo2@bloomberg.net;東京 野原良明 ynohara1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net院去信太郎

更新日時: 2014/07/02 12:24 JST

 
 
 
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