nanapiのUXデザインへのとりくみ


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はじめに

こんにちは!ビアガーデンの季節が到来し、ワクワクが止まらないビール系デザイナーのビール上谷です。

ここ最近毎日のように耳にするようになったUXやHCDといったワードですがみなさんはどのように捉え、実践していますか?「そもそもやり方がわからないから取り入れていない」「所詮バズワードだしホイホイ飛びついてもしょうがない」といったネガティブな理由から実践するに至っていない方も多いかと思います。

nanapiでは近年のユーザーニーズやタッチポイントの多様化を受け、サービス開発にUXデザインアプローチを導入し始めており徐々にメリットを実感できる状態になってきています。

nanapiではメインプロダクトであるnanap.jp以外にも、日々の生活に「刺激」や「動機」を与えるメディア「IGNITION」や、Q&A型コミュニケーションサービス「アンサー」を運営しています。今回は事業会社のデザイナーという観点から、実際にサービス開発に取り入れた実例を交えながらUXデザインアプローチ導入のメリットや、起こりやすい障害の対策などについて記していきたいと思います。

nanapiで取り入れているUXデザインアプローチ

ユーザーインタビュー

インタビューは主にコンテクスチュアル・インクワイアリーを採用し、実施しています。これは「師匠と弟子モデル」とも言われる非構造化インタビューの一種で、深層にある潜在的なニーズや問題点の発見を目的とした定性リサーチ手法です。

nanapiでは企画の骨子となる仮説を持った状態でインタビューを実施し、仮説の検証/問題点の発見に役立てています。ある程度のテクニックが必要とされる手法なので、事前に社内メンバーを集めて模擬練習をしたり座学の場を設けたりすることでインタビュー精度の向上に努めました。

時間的/予算的にインタビュイーのリクルーティングが厳しい場合や、結果を早く知りたい場合にはゲリラインタビューをおこないます。ゲリラインタビューは基本的にインタビュアーと記録係の二人でおこない、事前に設計したターゲットやスクリプトに基づいて進めます。

ペルソナ

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nanapiではスピード感を持って開発を進めるため、データ駆動のペルソナではなく プロトペルソナ を採用しています。ペルソナのたたき台となる部分は上記のリサーチ結果などを元に作成しますが、初期段階では低めの精度でモデリングし時間の経過とともに精度を上げていきます。

また、チーム全員が見えるところに出力したペルソナを貼り出すことで、日々の開発を進める中で忘れがちなサービスが向かうべきゴールの再認識や、ユーザー像の明確化により意思決定プロセスでのブレを回避することが出来ます。

ユーザビリティテスト

リサーチ手法の中でも比較的導入しやすい手法として、ユーザビリティテストが挙げられます。数年前まではテストを実施するにあたり、機材や場所の確保、テスターのリクルーティングなどで多大なコストがかかっていましたが、近年では様々なツールやサービスの登場によってそのコストはグッと下がりました。nanapiではケースに応じて2つの方法でユーザービリティテストを実施しています。

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通常のフローでユーザビリティテストを行いたい場合は、リモートテストを実施します。設計/分析は社内で行い、テストにはUIScopeを利用します。UIScopeは低コスト/リモートでユーザビリティテストを実施できるサービスです。

※UIScopeのnanapiインタビュー記事はこちら

また、分析パートはチーム全員で行うことを原則としユーザービリティの問題に対して共通認識の醸成を図っています。これによりチーム全員がユーザービリティが抱えている問題を重要な課題として捉えることができ、議論やコミュニケーションの活性化が期待できます。

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リモートテストよりも更に素早く行いたい場合はミニマムテストを実施します。これは社内で素早く行える簡易版のユーザビリティテストで、部分的なインターフェースの問題や妥当性を検証したい場合に用います。

Webカメラとカメラスタンドで自作したものを書画カメラ代わりに使用するので、導入コストをかなり抑えられます。もちろん同様の方法で通常フローと同じようにテストを行うことも可能なので、ケースに応じて柔軟に使い分けています。

測定基盤の整備

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改善プロセスにおいてサイクルを回していくには、定量分析を行うための測定基盤が不可欠です。nanapiではサービスの特性に合わせ、GoogleAnalytics / mixpanel / Localytics / TreasureDataを組み合わせて導入しています。

一部のプロジェクトでは数値改善の取り組みをチームの重要な課題として捉え、肩書やスキルに関係なくチーム全員で毎日データと向き合いながら、改善施策を決定するためのMTGを実施しています。

導入時に起こりがちな障害と対策

nanapiでの導入はかなりスムーズに進みましたが、実際は簡単には進まない場合が多いかと思います。UXデザインアプローチに限らず、規模の大きな取り組みを始める場合には障害がつきものです。以下に起こりがちな障害と対策を挙げていきたいと思います。

1.ひとりでやるのは大変

ひとえにUXデザインと言っても様々な手法が存在します。また、UXデザインはスポットで実施して完結するもではなく長期的に取り組んでいくべきものです。チーム内に自分以外の有識者がいない場合、すべての施策をひとりで推し進めていくことになるので想像以上にハードなものになります。

UXデザインは「共創」を重視するアプローチなので、社内でUXに対する理解者を増やし共にプロジェクトを進めていくことが成功のカギとなります。座学や社内ワークショップなどの機会を設けつつ、周りを巻き込んでいくことで徐々に土壌を築いていくことが重要です。UXの下地が無いチームではこういった一見地味に見える草の根活動が長期的に効いてきます。

2.偉い人が理解してくれない

実際のワークフローに取り入れるわけですから、当然時間と人員のリソースを割いて進めていかなければいけません。ここで問題になってくるのが会社(またはチーム)にとってUXの価値が重要なものであると認識されておらず、ステークホルダーから「そんな意味のわからない(利益を生まない)ものにリソース(予算)を使うんじゃない!」とキツく言われてしまうパターンです。

この場合、ステークホルダーに価値を理解してもらい合意を得る必要があるので、まずは導入メリットやワークフロー/コストを整理して提示します。それでも理解が得られない場合は業務外でラボ的に活動するなどして、実績としての数値メリットを提示して説得していく必要があるかもしれません。

3.途中でやらなくなってしまう

上記でも挙げてきた通りUXデザインは様々な手法の集合体です。当然最初はいずれかの手法を選択して実施することになりますが、例えばその結果がポジティブなものではなかった場合などにモチベーションが低下したり、チーム内で悪者探しが始まったりして取り組みが中断/終了してしまう場合があります。

UXデザインでは「失敗=価値のあるもの」として捉え、失敗から得た学びをサービス開発に活かします。そのため、まずは失敗を許容する雰囲気作りが最重要となります。その上でメンバーへのビジョン共有などを通してスクラップビルドのサイクルを回すことにチームの焦点を合わせていきます。

まとめ

いかがでしたか?nanapiではUXデザインアプローチをユーザーと対話する唯一の方法と考え、日々の様々な業務に取り入れています。今後はプロダクトの体験品質をさらに向上させ、よりよい価値をユーザーに届け続けられるよう取り組んでいきたいと考えています。

採用情報

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