政府が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認をめぐり、昨年以降、長野県内77市町村議会のうち、解釈変更に反対する趣旨の意見書を可決した議会が35に上ることが26日、信濃毎日新聞の取材で分かった。慎重な審議を求める意見書も10市町村議会が可決し、県会も27日に丁寧な論議を求める意見書を可決する見込み。来週中の憲法解釈変更の閣議決定を目指す政府に「待った」をかける県内議会の動きが広がっている。
衆参両院事務局によると、行使容認に反対または慎重審議を求める両院議長宛ての意見書は、26日時点で計198件提出された。衆院は112件のうち32%に当たる36件、参院は86件のうち29%に当たる25件が長野県内の市町村議会からという。県外では、岐阜県議会が慎重な検討を求める意見書を可決するなど、全国の地方議会で憲法解釈変更による行使容認に懸念を示す声が強まっている。
県内で可決された憲法解釈変更に反対する意見書の多くは「その時々の政府の判断で解釈を変更することはあってはならない」などと指摘。一内閣での検討で決めることについても、これまで集団的自衛権の行使は憲法上認められていないとしてきた政府の国会答弁を「形骸化させる」とし、従来の政府見解の堅持を求めている。
一方、反対での一致は難しいが、政府与党内での短期間の議論で集団的自衛権行使容認に向け憲法解釈の変更に踏み切ることには議会としての意思を示す必要があるなどとして、慎重な審議を求める意見書も可決されている。「深く、慎重に検討していく必要があり、あわせて国民の理解を得る必要と国際社会に理解を促す努力が求められる」(伊那市議会)といった内容だ。
26日には木曽郡木祖村議会が解釈改憲による集団的自衛権行使容認に反対する意見書を、安曇野市議会は慎重な審議を求める意見書をそれぞれ可決した。県内では今後、須坂市議会が憲法解釈変更に反対する趣旨の意見書提出を求める請願を委員会採択したのを受け、7月1日の本会議で意見書案を採決する予定。