渡辺謙、初ミュージカルがブロードウェー!「人生最大の挑戦」
俳優の渡辺謙(54)が米ニューヨークでミュージカルに初挑戦することが1日、分かった。名作「王様と私」で、タイの王様役を演じる。この日、都内で取材に応じた渡辺は映画で来年4月のハリウッド進出に続く、ブロードウェー・ミュージカル出演に「50歳半ばを迎え、人生最大の挑戦をしにニューヨークに向かいます」と気合。来年4月16日から6月末までリンカーン・センター内のビビアン・ビューモント・シアターで上演される。
世界のKen Watanabeが新たな扉を開く。米国での初舞台で、役者人生初のミュージカルに挑戦。しかも、いきなりの“ブロードウェーの金字塔”。渡辺は「想像のつかないスケール。人生最大の挑戦です」と表現した。
オファーがあったのは約1年前。映画「GODZILLA」(25日公開)の撮影でカナダ・バンクーバーに滞在している時だった。同所を訪ねてきた演出家のバートレット・シャー氏に「大丈夫。我々はベストシンガーやベストダンサーを求めているんじゃない。キング(王様役)を求めているんだ」と言われ、「やってみるか」と出演を決めた。
演劇集団「円」の出身で、舞台にはなじみがある。90年前後にCDも発売しているが、ミュージカルにはまったく縁がなかった。昨年、「ホロヴィッツとの対話」(演出・三谷幸喜)で約12年ぶり舞台に出演。三谷氏と「やっぱり舞台っていいな。次はミュージカルでもいいね」と話していた直後に届いたオファーだった。
役どころはタイの王様。もちろん歌もセリフも英語だ。すでにボイストレーニングを開始しており、体力づくりにも励むという。来年1月下旬から稽古がスタート。3月12日からプレビュー公演が始まり、4月16日に本公演の幕が開く。先日、劇場の下見に出かけ「文化の香りがする」と感じたという。
03年に映画「ラスト サムライ」で米国進出した際に、現地の関係者に「舞台出身だから目標はこっちで舞台をやることかな」と漠然と話していたという渡辺。「実現性のない夢として語っていたら、いきなり目の前に突きつけられた。これまで積み上げたものをすべてぶち壊さないといけない。かつて感じたことのない不安と格闘している。怖いよ。でも、逃げられない。必死にやるしかしかない」。その目はやる気に満ちあふれていた。
◆王様と私 1860年代のバンコクを舞台に、タイの王様と、王様の妻と子供たちを教育するために呼ばれたイギリス人の家庭教師アンナ・レオノーウェンズが最初は対立しながらも、互いに理解しあうというストーリー。「Shall We Dance」などの名曲が多数含まれる。初演は1951年で、日本でも何度も上演されている。56年にはユル・ブリンナー、デボラ・カー出演の同名映画が世界的にヒットした。今回、アンナ役は、トニー賞ノミネート経験がある実力派の舞台女優で歌手のケリー・オハラ(38)が演じる。