「試合中のスタンドの声がどのように聞こえていますか?」というような質問を度々いただいているので、試合のときに私が感じていたことをお話ししてみたいと思います。
まず、試合中に言葉はほとんど耳に入っていません。温かい言葉からヤジと言われるような言葉まで、サポーターの皆さんの応援でかき消されている上に、ピッチの中に集中しているので、どこのスタジアムでも聞こえたことがありません。
サポーターの皆さんが声を揃えて歌ってくださるチャントや呼んでくださる名前も、試合が流れているときには頭に入ってきていないときもあります。私の場合はセットプレーで上がっていくときに「いーわーまさ、おーお!」と歌っていただくことが多く、プレーも止まっているのでよく耳に届いていました。その度に静かに「よし、決めてやろう。」と思ったものです。
ただ、私がサポーターの皆さんを感じていたのは言葉からではなく、雰囲気、空気、ムードからだったような気がしています。
サポーターの皆さんが喜ぶプレー、サポーターの皆さんの期待、サポーターの皆さんの望み、サポーターの皆さんの落胆。それらはサポーターの皆さんに囲まれたピッチの中で、はっきりと感じることができます。
サッカー選手はサポーターの皆さんがいらっしゃらなければ成り立たない仕事です。サポーターの皆さんのことを少なからず意識してプレーしています。皆さんの思いは確実に届いています。
届いているのは言葉ではなく、思いです。言葉はごまかせても、思いはごまかせません。応援するチームに本当に優勝してほしい、そして本当に優勝できると思っているか。応援するチームにどんなサッカーをしてほしいと思っているか。その日の結果に満足しているか。そのプレーに満足しているか。全て言葉からでなく、スタジアムの空気から感じています。
だから、本当の意味でサポーターの皆さんはチームの先行きを決める存在なんだと思います。だから選手にどんどん期待してください。プロの選手に言い訳は必要ありません。ベテランだろうが若手だろうが、調子が良かろうが悪かろうが、試合に出れば結果を出さなければいけない世界に私たちは望んで生きています。
若い頃、プレッシャーが辛くて「早く辞めてやる。」なんて思ったこともありましたが、私は32歳になった今も、もう少しこの世界に生きていたいと思っています。