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【政治】

秘密保護法下で武力行使 根拠示さず決定も

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 安倍内閣は特定秘密保護法の成立から七カ月で、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。秘密保護法は国民の「知る権利」を侵す恐れが強く、安全保障政策をめぐる政策判断の議論を非公開にできる。政権が集団的自衛権に基づき、武力行使を伴う自衛隊派遣を決定する場合、最も重要な根拠が「ブラックボックス」になって国民に知らされない可能性が高い。

 秘密保護法は、防衛や外交など四分野のうち「国の安全保障に著しい支障を及ぼす恐れがある」と判断した情報を特定秘密に指定し、公開を拒否できる。指定期間はあるが、政権の裁量で永久に非公開にすることもできる。施行は今年十二月の予定。政権にとって、集団的自衛権を行使するかの判断は重い。米国からの要請などが想定されるため、関連情報を公開すれば「安全保障に著しい支障」が生じると判断し、特定秘密に指定するのは確実。そうなれば、国民は派遣決定の理由を見られない。

 集団的自衛権の行使は、国家安全保障会議(日本版NSC)で審議し、内閣が決めるが、安倍晋三首相は五月の国会答弁で「武力行使を行うか否かは高度な政治的決断。時の内閣が総合的に判断し、慎重に決断する」と表明。説明責任を果たすことに後ろ向きだ。

 イラクとインド洋に自衛隊を派遣したときは、時限立法を成立させなければならず、理由を示さないわけにはいかなかった。秘密保護法が施行され、集団的自衛権を自衛隊の任務に加える個別法が成立すれば、ますます政権の情報独占が進む。 (関口克己)

 

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