組合執行委員からの報告 (No.3)
11月1日、S館にて初めての団体交渉が行われました。
会社側の出席者は、M専務を含め4名。Nオーナーの姿はありませんでした。
組合側は、S地区労組の3名と執行委員4名が出席しました。
組合からの要求に対する会社側の回答は以下のとおりです。
なお、3時間に渡る交渉内容を端的に記述しました。
要求1 違法な「専門業務型裁量労働制」をやめて、ただ働きの長時間労働をなくして下さい。
回答 今後は専門業務型裁量労働制の適用を廃止します。ついては、みなし時間外手当の見直しを行い、法令通りに実際の時間外労働時間に応じた賃金を支払い、個々の働きに報いるようにしていきます。
この回答に対し組合は、賃金の改定をするのではなく、2013年5月以前の雇用契約(基本給+42時間分の残業代)に戻し、専門業務型裁量労働制によって支払われなかった42時間を超える残業代について今後は支払うよう強く主張しました。
M専務からは、会社側がみなし残業代を排除するのかどうかわからないため、持ち帰って検討するとの回答が得られました。
要求2 2013年5月からの新雇用契約は、基本給のベースダウンを伴うもので同意できません。基本給を元に戻して下さい。
回答 雇用契約は全社員に対してそれぞれ同意の上、捺印をもって締結しております。またパートについても同意の上、雇用契約を締結しています。撤回しなければならない賃金切り下げはありませんが、仮に同意のない雇用契約が存在するならば、対象となる労働者の氏名を明らかにして下さい。
合意の上の契約と言っていますが、今回の労働契約は同意、不同意の問題以前に契約自体が無効です。(詳細は4枚目をご覧ください。)
組合としては上記を主張しM専務からは、役員会議に上げて検討しますという回答が得られました。
要求3 パートの賃金切り下げを撤回して下さい。パートにも有給休暇を付与して下さい。
回答 パートの有給休暇につきまして労働基準法通りに付与することに問題はありません。
全面的に認めてくれました!
自給900円、6年半以上勤めている人を例に上げると、
有給休暇40日、1日8時間勤務なので
900×8×40=288,000円相当が得られたことになります。
要求4 過去の未払い残業代を支払って下さい。
回答 法令違反があった場合は速やかに是正します。
強気な態度で否定しましたが、明らかな違法です!
組合としては会社側が法令違反をどの段階で認めるのかを(例えば、第三者機関からの指摘があった時点で認めるなど)確認した所、M専務は持ち帰って検討すると回答しました。
要求5 隔週の土曜出勤をなくして下さい。
回答 要求を受け入れる事は出来ません。なお、土曜日に年次有給休暇を取得することは労働者の自由です。
会社としては業界のニーズに合わせ、スピードが求められるため止めることは出来ないとの回答でした。
しかし、みんなそれぞれの生活があります。
賃金の発生していないサービス出勤(前年度に比べ10日以上労働日が増えたにもかかわらず多くの労働者はほとんど賃金総額が変わっていません)の補填に給料の発生する有給をあてろというのはおかしいと思いませんか?
2011年版就業規則には記載されておらず、一方的な労働条件の不利益変更であるため、組合では土曜出勤は無くす方向で、今後の交渉に臨んでいきたいと思います。
もしくは、土曜出勤で増加した労働日分の賃金を支払ってもらうことで有給をあてる事への妥当性を示して頂くように要求します。(増加した労働日数分の給料を支払ってもらえれば、有給をあてても不利益にはなりません)
要求6 会社は従業員に就業規則を配布して下さい。
回答 M専務デスク脇にて常時閲覧が可能です。なお、配布義務は法律上ないことを申し添えます。
就業規則はいわば会社のルールブックです。
皆が見やすい場所に設置してもらうように次回の団体交渉で要求します。
要求7 労働組合結成通知書に関する返答
組合支部結成の確認と不当労働行為(労働組合員に対するさまざまな嫌がらせ)は行わないことを約束していただきました。
しかし、組合活動を行うための、事務機器、食堂や会議室などの会社施設を利用することにたいしては認めていただけませんでした。
総括
今回は専門業務型裁量労働制の廃止、パートの有給を得ることが出来ました。
初めての交渉で、こちらの要求を会社側に理解してらえたことは成果といえますが、Nオーナーが不在のため、多くの要求は今後の交渉に持ち越されてしまったのが残念です。
引き続き、要求実現のために粘り強く交渉に臨んでいきます。
行動を起こす事が権利を獲得する為の第一歩です。
また、権利には義務が伴っていることを忘れずに。
社員としての自覚をもって業務に取り組みましょう!!!
以上
労働契約法(一部条文抜粋)
第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
労働契約の際、就業規則に書かれている内容と異なる内容があった場合は、就業規則に従うという内容です。
現在、会社の就業規則は2011年に改訂されて、それ以降変更がありません。つまり、皆勤手当を基本給に組み込むこと、隔週土曜出勤、固定残業代金を42時間から60時間分にするといった変更点が反映されていないのです。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
労働者の合意なく、会社側が一方的に労働条件を変更することができず、もしも不利益な変更を行う場合は、10条の要件を満たした場合に限るという意味です。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
労働者にとって不利益な労働条件へ変更する場合は、変更後の就業規則の周知、就業規則の変更内容が社会通念上合理的かどうか、変更によって労働者がどれだけ不利益を被るのかといったことを説明し、それでも双方が納得すれば契約が成り立ちますが、説明がなければ、たとえ捺印があっても契約は不成立ということです。
(就業規則違反の労働契約)
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
就業規則の内容より不利な内容の労働契約は就業規則の内容まで引き上げられるということです。
以上の根拠をもって、組合側は今回の契約は違法であると主張します!