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全MVを作る田向潤が語る、きゃりーぱみゅぱみゅの才能って?

インタビュー・テキスト:タナカヒロシ 撮影:野村由芽(2014/07/01)

この6月に2度目のワールドツアーを終えるなど、世界各国から高い評価を受けているきゃりーぱみゅぱみゅ。彼女の存在を広く知らしめ、新作が出るたびに大きな注目を集めるのが、YouTubeでも視聴できるミュージックビデオだ。最新アルバム『ピカピカふぁんたじん』のリリースにともない、公開されたばかりのリード曲“きらきらキラー”のMVも話題を呼ぶ中、メジャーデビュー以降の彼女の全MVを手がけ、昨年は『MVA』(SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS)でもベストディレクターを受賞した田向潤は、紛れもなくきゃりーぱみゅぱみゅの世界観を作ってきた立役者の一人と言えるだろう。MV制作に対するポリシーや、ディレクターの視点から見たきゃりーぱみゅぱみゅ、そして“きらきらキラー”の知られざる裏設定など、田向にたっぷりと話してもらった。

PROFILE

田向潤(たむかい じゅん)
映像ディレクター/グラフィックデザイナー。1980年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業後、E.に入社しグラフィックデザイナーとして2年間在籍。その後Caviarに移籍し、映像ディレクターユニットtamdemとしてミュージックビデオやCMをディレクション。2011年8月よりフリーランス。

僕自身が「可愛さ」に関して得意分野ではなかったので、逆にきゃりー(ぱみゅぱみゅ)を客観的に捉えられたのかなと思います。

―今日は田向さんが手がけられているきゃりーぱみゅぱみゅのMVの話を中心にお聞きしていきたいと思います。きゃりーのMVを作るようになったのは、どんな経緯だったんですか?

田向:僕が前にいたCaviar(キャビア)という映像制作会社を辞める直前のタイミングで、「今度デビューする女の子がいるんだけど、1本作ってみる?」という話をいただいたんです。ちょうど会社を辞めることが決まっていて、時間だけはたくさんあったし、「ぜひやらせてください」という感じでした。

田向潤
田向潤

―それまでは主にどんなお仕事が多かったんですか?

田向:Caviarでは相方(デムラタクヤ)がいて、「tamdem」というディレクターユニットで映像を作っていました。作風としてはモーショングラフィックス系が多かったですね。MVだと大塚愛さんや、T.M.Revolutionさんをやらせていただいてました。

―最初、きゃりーにはどんな印象を持ちましたか?

田向:一緒に仕事をすることになって、彼女の資料やブログを見せてもらったんですけど、可愛くない顔を載せていたのが印象的だったんですよね。でも、それも連続して見ていくと可愛いような気がしてきて、その感覚の変化は面白いなと思いましたね。既存の「可愛い」という概念を変えたり、広げたり、先駆けになるような存在なのかなとそのときに思いました。

―確かに、最初に手がけた“PONPONPON”のMVは、「これもカワイイなの!?」と思うような画もありますよね。




田向:そうですね。ただ、無茶苦茶やっていたわけじゃなくて、全部「カワイイ」の一部であると自覚してやっているところを見せられたらいいなと思って作りました。

―当時、その価値判断って難しくなかったですか?

田向:僕自身が「可愛さ」に関して得意分野ではなかったので、逆に客観的に捉えられたのかなと思います。むしろ、きゃりーは当時の可愛いっていう価値観を壊すような人だったので、もし僕が変に固定観念を持っていたら、彼女の良さを邪魔してしまったかもしれない。


面白いMVにはアーティスト本人の持っている面白さもよく表れている。そういうときって、作り手がアーティストの魅力に影響されて作っているんだと思います。

―本人とはどんなことを話しながら進めるんですか?

田向:毎回、僕のほうから「全体のコンセプトはこういう感じでどうですか?」という提案をするんですけど、本人もやりたいことをしっかり持ってるので、コンセプトに合う意見を出してもらって、それを反映させながら進めていく感じですね。一番最初にやった“PONPONPON”だと、「私、一輪車に乗れるんです」と言われたので、「じゃあ用意します」みたいな(笑)。

―きゃりーのMVは、それまで作ってきたMVと感覚的に違うものはありました?

田向:僕の中ではあんまり変わらないです。というのも、結局ビデオを作るときは、いつも僕がやりたいことをやっているわけではなくて、アーティストごと、曲ごとにトーンみたいなものがあるわけで。それをある程度踏襲しつつ、ちょっと崩すように意識してやっているんですけど、やっぱり面白いビデオには本人の持っている面白さがすごくあるので。そういうときって、作り手がアーティストの魅力に影響されて作っているところがあると思います。

―きゃりーの場合、その「面白さ」とは何ですかね?

田向:本人が受け止められる表現の幅がすごく広い。その幅がないと、見る人によっては下品なものになってしまうんですけど、彼女は何をやってもある程度の品を持って受け止められる器がある人だと思うんです。そういうこともあったので、“PONPONPON”は可能な限りめちゃくちゃに、色も要素もたくさん入れて作ることができたんですよね。

―あの派手な背景には、そんな理由もあったんですね。

田向:あと、“PONPONPON”のときに、振り付けに関係なく自由に動いてもらうテイクが何個かあったんです。デビュー作だったので僕もどれくらい動ける人なのかわからずに撮っていたんですけど、動きのバリエーションがめちゃくちゃいっぱい出てきて、しかも全部面白いというか、映像的に絵になる動きだったんです。そういう思わずどんどん撮りたくなるような身体の面白い見せ方っていうのは、きゃりーちゃんが元から持っていた才能なんだと思います。


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