ソニー(東京)のパソコン事業売却に伴って「VAIO(バイオ)」ブランドを引き継ぎ、国内向けにパソコンを開発・製造する新会社、VAIO(長野県安曇野市)が1日、事業を開始した。ソニーでVAIO事業本部の企画管理部統括部長などを歴任した関取(せきとり)高行氏(53)が社長に就任。東京都内で記者会見を開き、「2015年度には年間30万〜35万台を販売したい」との目標を示した。
新会社は、ソニーが拠点としていた安曇野市豊科のパソコン組立工場などを承継。資本金は10億円で、売却先の投資ファンド、日本産業パートナーズ(東京)が95%、ソニーが5%を出資した。従業員は約240人。ソニーが撤退を発表した2月時点は約1100人だったが、他事業への配置転換や早期退職の募集で絞り込んだ。海外事業からは撤退し、国内に専念する。
関取社長は1984(昭和59)年にソニーに入社し、パソコン事業の経験が長い。パソコン市場が成熟期に入ったとされる中、会見では「ユーザーが求めるパソコンの本質を突き詰め、とがった商品を生み出したい」と語った。
新会社は、ソニーグループのソニーマーケティング(東京)と総代理店契約を締結。同社のインターネット通販サイトを活用して一般消費者向けに販売するほか、一部量販店では8月以降、VAIO商品の購入手続きができるコーナーを設置する。
この日は、ソニー時代から引き継いだ薄型・軽量のパソコンなど2シリーズ3機種をVAIO初の製品として発売することも発表した。いずれも黒で、税別10万円から。個人向けは7月1日、法人向けは8月4日に受注を始める。