東京レター
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【政治】戦争の歯止め、あいまい 集団的自衛権 安倍内閣が決定2014年7月2日 07時07分
安倍内閣は一日の臨時閣議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法解釈を変え、行使を認める新たな解釈を決定した。自衛権の発動を判断する新たな「武力行使の三要件」の表現は抽象的。解釈次第で海外で自衛隊が活動する範囲が拡大していく懸念があり、戦争への歯止めはあいまいだ。戦後六十九年にして、九条に象徴される平和憲法は最大の危機を迎えた。 新たな三要件は、日本と密接な関係にある他国へ武力攻撃が発生し、日本国民の権利や生命が「根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使が「憲法上許容される」と明記。こうした武力行使を「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と位置付けた。 集団的自衛権を使った自衛隊の出動には、原則として国会の事前承認を得る方針も示した。安倍晋三首相は閣議決定後に記者会見し「万全の備えをすることが抑止力だ。戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく」と強調。「明白な危険」に当たる事態は「慎重に判断していく」と述べた。 会見後の民放番組では、政府が示した集団的自衛権の八事例のうち中東・ペルシャ湾での機雷掃海に言及。日本に原油を運ぶ民間船が多数航行していることに触れ「やるべきことはやらなければならない」と意欲を示した。自民党側には日本近海の米艦防護などを含め、新要件の下で八事例はできるとの意見が多い。 公明党の山口那津男代表も閣議決定後に記者会見し、新要件を「(武力行使に)厳格な歯止めがかけられた」と評価。新要件に当てはまる中東での機雷掃海に関し「現実には起きにくい」と指摘した。公明党内には八事例を認めることへの慎重論が強く、自公のずれが鮮明になっている。 閣議決定では、国際協力での自衛隊の役割も見直し「非戦闘地域」に限った活動範囲を「現に戦闘を行っている現場」以外に拡大。武力攻撃に至らない領域侵害(グレーゾーン事態)の対応では、自衛隊の即応体制の検討を打ち出した。 閣議決定に先立ち、自公両党は与党協議で正式に閣議決定案で合意。政府は今後、自衛隊法改正案など関連法案の策定に入る。 (東京新聞) PR情報
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