July 1, 2014
国際研究チームが、このたびジュラ紀の“奇妙な”寄生虫を発見した。1億6500万年前に化石化したハエの幼虫は、かつて火山や淡水湖が点在していた中国、内モンゴル自治区で見つかった。研究者らは、この幼虫にキイア・ジュラシカ(Qiyia jurassica)と名付けた(「Qiyi(a)」は中国語の「奇異」)。その特異な外見は、巨大な吸盤と化した上腹部をもち、サンショウウオの血液を吸い取ったと思われる。
ジュラ紀と言えば恐竜の時代を思い浮かべるが、実は多種多様な昆虫や爬虫類が生息していた。今回化石が見つかった内モンゴル自治区のこの地域は、はるか昔は淡水湖で覆われていた。無数の昆虫、様々な種類のサンショウウオが生息した地域で、多くの化石が出土している。
化石の多くは、地元の農家が土を耕す際に見つかっている。彼らは、国立博物館や大学に化石を引き渡す見返りとして、中国政府からわずかばかりの謝礼を受け取る。そのようにして、化石が世界中の科学者に研究用に貸し出されている。
ドイツ、ボン大学の古生物学者で、研究に携わったジェス・ラスト(Jes Rust)氏・・・
ジュラ紀と言えば恐竜の時代を思い浮かべるが、実は多種多様な昆虫や爬虫類が生息していた。今回化石が見つかった内モンゴル自治区のこの地域は、はるか昔は淡水湖で覆われていた。無数の昆虫、様々な種類のサンショウウオが生息した地域で、多くの化石が出土している。
化石の多くは、地元の農家が土を耕す際に見つかっている。彼らは、国立博物館や大学に化石を引き渡す見返りとして、中国政府からわずかばかりの謝礼を受け取る。そのようにして、化石が世界中の科学者に研究用に貸し出されている。
ドイツ、ボン大学の古生物学者で、研究に携わったジェス・ラスト(Jes Rust)氏は、驚くほど細部まで保存されたハエの幼虫の化石を偶然手に入れた。微粒の泥に埋もれたため、体の細かな特徴すべてを保存していた。
彼が最初に目を留めたのは幼虫の胸部で、それは巨大な吸盤に進化していた。吸盤は、幼虫が獲物に吸着するのに役立つ6つのとげ状の突起に囲まれていた。
また、ラスト氏は、胸部が非常に筋肉質であることにも気がついた。幼虫は、筋肉を使って吸盤で獲物の皮膚を少し吸い上げ、負圧の箇所を作ったと推測される。ちょうど人間がストローを使うのと似ていて、血液が体内に流れるのを可能にしたのだろう。
一方、頭部は異常に小さく、口器は針のような機能を果たした。下腹部は、各体節の両側にそれぞれ2本の足が付いており、毛虫のようであった。
興味深いことに、キイア・ジュラシカが見つかったジュラ紀の湖には魚が生息していなかった。したがって、その幼虫が吸い付いた唯一の獲物は、体長15~20センチほどのサンショウウオであったと思われる。
ラスト氏はこの地域からもっと奇怪な遺物が出土すると信じており、「ここは、太古の生命を記録するには最良の場所である」と話している。
コロラド州ボルダ―にあるコロラド大学自然史博物館で無脊柱動物の学芸員を務めるディーナ・スミス(Dena Smith)氏は、次のように語る。「長い間研究者らは、昆虫があまりにもろいので保存されないと考えてきました。それは、化石記録なしで昆虫の進化を解明しなければならないことを意味していました。良い状態の化石が見つかったことで、昆虫の世界がどのように派生したか把握することが可能になるでしょう」。
今回の研究論文は、6月24日付でイギリスのオンライン科学誌「eLife」に掲載された。
Photograph by Bo Wang / Nanjing