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【サッカー】

ブラジル死闘PK 守護神ジュリオセザールが救世主

2014年6月30日 紙面から

◇ブラジルW杯 第16日決勝T1回戦 ブラジル1−1チリ(PK3−2)

 決勝トーナメント1回戦の2試合が行われ、6度目の優勝を狙う開催国ブラジルはチリと対戦し、1−1からのPK戦を3−2で制して6大会連続のベスト8進出を果たした。コロンビアはMFハメス・ロドリゲス(22)の2得点でウルグアイに2−0で快勝し、初めて8強入りした。両チームは7月4日(日本時間同5日)の準々決勝で対戦する。

 敗北は絶対に許されない死闘を制した。すさまじい重圧を受けたであろうPK戦。仲間の激励に目を潤ませてゴールへと向かったGKジュリオセザールが、ブラジルの危機を見事に救った。

 「チームメートが次々に素晴らしい言葉を掛けてくれて、気持ちを抑えきれなかった。集中しないといけないのは分かっていたけど。でもゴール前に立ったら、冷静になれたよ。それで、あの結果が出せたんだ」

 相手の1人目、2人目のキックを完璧に読んで阻止。味方も2人が失敗したが、最後はチリ5人目のキックがポストを直撃して決着が付いた。仲間の祝福を受け、「ものすごく幸せ。みんなに感謝をしたい。それだけだよ」と声を弾ませた。

 1997年、17歳で名門フラメンゴでプロデビュー。その初舞台となったフルミネンセとのビッグゲームでもPKを止める大仕事をやってのけた。プロとして過去12度のPK戦で8勝4敗の結果を残すなどPKに無類の強さを発揮してきた。

 ただ、この4年間は苦難の連続だった。前回大会準々決勝のオランダ戦で、ゴール前でハイボールの処理を誤って失点し、戦犯と批判を浴びた。報道陣の前で大泣きした彼は代表に招集されない時期を長く過ごした。

 所属するインテル・ミラノからも放出され、プレミアリーグ最下位のクイーンズ・パーク・レンジャーズへ。そこで復調したがチームは2部降格。今度はカナダのトロントFCに籍を移した。ブラジルのメディアからは「世界のトップレベルでプレーしていない選手はセレソンのレギュラーにふさわしくない」と疑問を投げかけられた。

 苦難のジュリオセザールに信頼を寄せたのが、一昨年11月末に就任したスコラリ監督だ。就任初戦となった昨年2月のイングランド戦以来、メディアの圧力を跳ね返して代表に呼び続けた。

 試合後は「(監督は)いつでも落ち着きとパワーを与えてくれた」と、あらためて感謝を口にした。そして「僕のセレソンでの歴史は、終わってはいなかった」と続けた。その言葉は、優勝に向けてさらなる試練を乗り越える覚悟を示した、新たな宣戦布告だ。 (藤原清美)

 

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