精神科病院:居住施設への転換容認へ 厚労省検討会
毎日新聞 2014年07月01日 23時05分
精神科病院に長期入院している患者の地域移行を進める方策を議論してきた厚生労働省の検討会は1日、退院促進で空いた病床を居住施設に転換することを条件付きで容認する報告書をまとめた。精神病床の居住施設への転換を巡っては、障害者団体などが「病院による患者の囲い込みが続きかねない」として反対していた。
日本では約34万の精神病床に約32万人が入院。このうち1年以上の長期入院が約20万人に上り、病床数、長期入院とも先進国では突出して多い。
報告書では、こうした入院中心の精神医療を改めるため、入院の必要性が低い患者の退院を促進して病床を削減する構造改革が必要だと指摘。その上で、患者が退院して不必要となった病床については、高齢などを理由に退院には否定的な患者の受け皿として活用することを容認。ただし居住施設への転換の際は、本人の自由意思の確保や利用期間の制限を設けるべきだとした。
この日の検討会では患者や家族のほか、医療側の委員からも「改革に消極的な病院の延命策になりかねない」との批判が相次いだが、「賛成意見が多数」として転換容認の報告書がまとめられた。【江刺正嘉】