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公開シンポジウム「世界はレイシズムとどう向き合ってきたか 地域研究とジャーナリズムの現場から」

2014年7月26日 (土) 13:00から 17:00

公開シンポジウム

世界はレイシズムとどう向き合ってきたか

地域研究とジャーナリズムの現場から

【日時】2014年7月26日(土) 13:00~17:00

【場所】大阪大学中之島センター10F 佐治敬三メモリアルホール
【参加】無料、事前申し込み不要
(定員に達した場合、それ以降のご入場をご遠慮いただくことがあります。)
【主催】地域研究コンソーシアム(JCAS)、アジアプレス・インターナショナル、京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)、京都外国語大学京都ラテンアメリカ研究所(IELAK)、調査報道NPOアイ・アジア(IASIA)、大阪大学グローバルコラボレーションセンター(GLOCOL
【共催】京都大学地域研究統合情報センター共同研究「官公庁や民間企業やマスコミと接合される地域研究の方法論の検討」(代表:立岩礼子)
韓国人や中国人を標的とした民族差別、排外主義を煽動するヘイト言辞がネット空間に溢れている。東京・大阪などでは、しばしば憎悪とデマを拡散させることを目的としたデモや演説が行われるようになった。人が傷つき、憎しみ合い、剥き出しの暴力が飛びかうことにならないか、日本社会の将来を多くの人が心配し始めている。

レイシズム、ヘイト行動は、世界の多くの場所で人と人が諍い、争う原因となってきた。それは時に、民衆どうし、隣人どうしが暴力を応酬し、大勢の人の命が失われる悲劇をまねいた。一方で殺しあいや虐殺が発生した地域では、対立を和らげ、憎悪が発生・増幅していった原因を探って再発を防ごうという努力がなされている。地域研究者とジャーナリストは、世界の現場でそれらを目撃してきた。各地で起こった民族、人種、宗派の違いによる対立・葛藤や、その克服の事例を報告する。

日本でもくすぶり始めたレイシズムと憎悪犯罪。世界の経験から我々は何を学ぶべきか。地域研究者とジャーナリストは、立場や方法の違いを超えて課題に取り組む必要がある。このシンポジウムを未来に向けた協働の第一歩としたい。

第1部 世界はレイシズムとどう向き合ってきたか:現場からの報告
・「ルワンダのジェノサイド:「民族対立」はいかにして作られたのか」
小峯茂嗣(大阪大学GLOCOL)

・「インドネシア・アチェ:和平後に台頭する排外主義」
佐伯奈津子(早稲田大学アジア研究機構)

・「コソボ、クルディスタン、イラクの民族・宗教対立」
坂本 卓(アジアプレス・インターナショナル)

・「「反日デモ」から考える中国」
米村耕一(毎日新聞外信部)

第2部 日本はレイシズムとどう向き合うのか:さまざまな立場
・コメント
・金 千秋(NPO法人エフエムわぃわぃ)
・康 有新(大阪大学院生・博士前期課程)
・武田 肇(朝日新聞大阪社会部)
・総合討論

司会
・西 芳実(京都大学地域研究統合情報センター)
・石丸次郎(アジアプレス・インターナショナル)

講師プロフィール

小峯茂嗣(こみね しげつぐ)

大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任助教。1994年以降、虐殺後のルワンダの平和構築支援や、アジア諸国の民主化支援のための国際選挙監視活動にNGOとして関わる。また大学教員として、アジアやアフリカの開発途上国や紛争経験国における海外実習プログラムを企画しており、早稲田大学、東京外国語大学を経て、2010年に現職に着任し、現在に至る。ルワンダを事例に、暴力を経た社会における国民和解のための法政策について研究中。

講演要旨:「ルワンダのジェノサイド:「民族対立」はいかにして作られたのか」1994年にルワンダで起きたジェノサイド。約80万人が犠牲になったといわれている。当時は多数派フツと少数派ツチの民族対立により、フツがツチを虐殺したという言説がまかり通っていた。しかしフツとツチは同じ言語を使い、民族間の通婚も盛んだった。エスニックな対立が顕在化した背景としては、80年代の経済危機や国際社会からの民主化の圧力による政権の求心力の低下と、反政府勢力との内戦の勃発がある。このような政治権力をめぐる闘争の過程で、ルワンダの「民族対立」は作られてきたのである。

佐伯奈津子(さえき なつこ)

インドネシア民主化支援ネットワーク/早稲田大学アジア研究機構招聘研究員。インドネシアの資源開発と紛争、人権問題について、日本のかかわりを中心に調査し、提言活動をおこなう。とくに紛争地だったアチェにおいて、人権侵害被害女性の聞き取り調査や自立支援のほか、スマトラ沖地震・津波被災者への支援活動を実施している。『アチェの声:戦争・日常・津波』(コモンズ、2005年)、『見えないアジアを歩く』(三一書房、2008年)、『現代インドネシアを知るための60章』(明石書店、2013年)など。

講演要旨:「インドネシア・アチェ:和平後に台頭する排外主義」30年以上の内戦が終結して約10年がたつインドネシア・アチェでは、「紛争中のほうがよかった」という声が聞かれるようになった。紛争下では不可視になっていた排外主義が台頭しているためだ。異なる民族、宗教、文化、政治的見解などを背景とする他者と共生できる社会をより平和的だと考えるならば、なぜアチェ和平合意は平和をもたらし得なかったのだろうか。アチェで台頭する排外主義について、その現状と課題について検討する。

坂本 卓(さかもと たく)

ジャーナリスト、アジアプレス所属。専門はクルド問題。コソボ、アフガニスタン、イラク、クルディスタンなど紛争地や戦場などで、衝突のはざまにおかれた住民の視点を軸にしたルポを続ける。NHK、日本テレビ、テレビ朝日のほか、Channel4(英国)、Al Hurra(アラビア語衛星)などでドキュメンタリーを発表。雑誌、新聞などにも写真ルポを寄稿。共著に、匿されしアジア (風媒社)、21世紀の紛争(岩崎書店)など。

講演要旨:「コソボ、クルディスタン、イラクの民族・宗教対立」コソボ紛争は、セルビア人とアルバニア人が共存してきた村の隣人関係を引き裂いた。クルディタンでは民族抑圧への反発が武力闘争につながった。いまイラクで先鋭化する宗派間の対立は、果て無き憎しみの連鎖に向かおうとしている。国家や政治はときに対立を煽り、コミュニティと人びとが作り上げてきた調和や理性を踏みにじる。人種・民族・宗教の対立の背景はどこにあるのか。相互和解への取り組みから私たちが学ぶべきことは何か。

米村耕一(よねむら こういち)

毎日新聞外信部記者。西日本新聞社で写真記者を経験した後、ペン記者に転向。福岡県田川支局時代に韓国語学習を開始。1997年夏に退社し、2カ月ソウル留学。同年秋に毎日新聞西部本社に入り、福島支局などを経て、2004年から政治部。小泉政権時代の首相官邸などを取材した。08年9月から1年間、中国大連で中国語研修。10年4月から3年間、北京勤務。慶應大学総合政策学部卒。

講演要旨:「「反日デモ」から考える中国」北京駐在記者として2010年、2012年の反日デモを取材した。昨年春に帰国し、毎日新聞でスタートした「隣人:日中韓」の取材チームに加わっている。2012年のことを振り返ると、北京の一般市民の中には、本気で日中間の武力衝突を予想している人がいた。その後も東シナ海を巡る日中のつばぜり合いは続いている。日中は、将来にわたって衝突を回避できるのだろうか。

司会者プロフィール

西 芳実(にし よしみ)

京都大学地域研究統合情報センター 准教授。インドネシア地域研究、アチェ近現代史。主な研究テーマは多言語・多宗教地域の紛争・災害対応過程。著書に『災害復興で内戦を乗り越える―2004年スマトラ島沖地震・津波とアチェ紛争』(京都大学学術出版会、2014年)等。JCAS社会連携部会を担当し、JCAS関連の共編著書に『原発震災被災地復興の条件:ローカルな声』『地域研究とキャリア・パス:地域研究者の社会連携を目指して』『「情報災害」からの復興:地域の専門家は震災にどう対応するか』『中東から変わる世界』(いずれもJCAS Collaboration Series)がある。

石丸次郎(いしまる じろう)

ジャーナリスト/アジアプレス。1962年大阪出身。朝鮮世界の現場取材がライフワーク。ソウル留学後、在日韓国・朝鮮人問題などを取材。北朝鮮取材は国内に3回、朝中 国境地帯には約95回。これまで900超の北朝鮮の人々を取材。2002年より北朝鮮内部にジャーナリストを育成する活動を開始。北朝鮮内部からの通信「リムジンガン」 の編集・発行人。主作品に「北朝鮮難民」(講談社)など。「北朝鮮に帰ったジュナ」(NHKハイビジョンスペシャル)など

お問い合わせ

地域研究コンソーシアム事務局 jcasjimu@jcas.jp Tel: 075-753-9616

日時:
2014年7月26日 (土) 13:00から 17:00
場所:
佐治敬三メモリアルホール
参加登録:
不要
URL:
http://www.glocol.osaka-u.ac.jp/research/140726.html
連絡先:
地域研究コンソーシアム事務局
jcasjimu@jcas.jp

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