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解釈改憲になぜ反対なのか
カテゴリ:日記

 

 まずは、日本国憲法の「第2章 戦争の放棄」の条文を明記します。

 

〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕

 

第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

 

 1972年の政府見解では「集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然といわなければならない」とされており(全文はこちら)、「しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止(や)むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」という文章で結ばれています。

 

 これがこれまでの憲法解釈だと僕は理解しています。インド洋でのアメリカ軍への給油活動、イラク戦争での自衛隊サマーワ駐留もこの解釈の範囲内という説明でした。日本国憲法第9条を読む限りでは、はっきり言えば武力行為そのものができないと書いてあります。文章としては、それ以外に読みようが、ない。 だけれども、それでは主権国家として危ういのではないかということで、自衛権は有しているのだと「読んで」、戦力だけれども、70年間の間に一度も他国と戦争をしていないという強烈な事実が自衛隊をギリギリのフィクションとして成り立たせていると僕は考えています。「外国から見れば軍隊だ」と言うひともいますが、「いや、それはアナタたちの国に自衛隊を訳すに相応しい言語がないだけです」と返すこともできます。屁理屈だと言うひとがいるかもしれないけれど、とても深い知恵だと僕は思います。だって、誰も殺してないんですよ。ものすごくラディカル。僕たちの先人が必死になって外国語を日本語に翻訳したように(たとえば哲学用語の数々だとか)、彼らも自衛隊に合うような言葉を考えれば良いんだと思います。そう言ってやればいい。でも、これ、自分でいうのもなんですが、屁理屈の一歩手前ですね。

 

 そして、この自衛隊がはっきりと憲法に書いてある内容を越えて、集団的自衛権という名のもとに他国(アメリカでしょうけれど)の戦争に参加できます、ということを安倍政権は憲法の解釈を変えて認めることにしました。上記の「憲法上許されないといわざるを得ない」を取り払うということですね。で、僕はここに反対です。憲法に、そうは書いてないからです。書いてないのに、それが認められるということは、憲法は時の政府によって解釈の変更が可能ということになってしまいます。頭に来る、というよりは恐ろしいと僕は思います。で、何かあったときには「特定秘密」として、有事の情報自体を僕ら一般市民は知ることができない可能性が高いです。ますます、恐ろしいですよね。そんなこと考えるのは僕だけでしょうか。

 

 本来ならば、憲法を改正しなければ実現しないことですよね。なのに、そうは読めないのに、読める、ということにする...。いや、全然読めないですよ。何百回読んだってそんなこと書いてないんです、憲法には。

 

 こんなことが許されていいのか!と、僕は思うんです。

 

 「明日にも戦争に参加するみたいなこと言うな!」と論調には同意しますが、こんなに急いで集団的自衛権の行使を憲法改正せずに認めるのはどうしてでしょうか?とも聞いてみたいです。「急迫、不正の事態」が近づいているのでしょうか。だとすると、「明日にでも戦争に参加するかもしれない」というロジックが成り立ってしまいます。もっとゆっくり議論することはできないのでしょうか。

 

 驚いたのは、真珠湾でリムパックという合同演習が行われていて、中国軍も米軍も参加しています。大国同士の経済的な結びつきとかも考えると、やっぱり「急迫、不正の事態」が何を指していて、どうして「 "集団的" 自衛権」を今、なのかが僕にはまったく理解できないのです。教えて欲しいです、逆に。北朝鮮やロシアについての危惧なのでしょうか。外交的な活動でなんとかする猶予もない事態に現在直面している、ということなのでしょうか。想像を絶します。

 

 賛成する理由が、僕にはどこにもないんです。反対する理由しか見当たらない。

 

 2007年。第一次安倍内閣の頃、僕はペシャワール会の中村哲医師のインタビューを読んで感銘を受けました。氏はアフガニスタンでの医療支援や用水路建設などの活動をされています。以下、中村氏のインタビューから引用します。

 

「日本への信頼感は兵隊を送っていない、というギリギリのところで保たれています」

 

「我々がアフガニスタンで活動できるのは平和主義に支えられているからこそです」

 

 当時の混迷するアフガニスタンでは米軍が駐留することによって逆に治安が悪くなっていくのだと中村氏は話します。そして日本のイージス艦がペルシャ湾まで来たときには危なかった、と。自衛隊がアフガニスタンに入ってくるならば、我々は出ていくしかないとも語っています。アメリカとの同盟関係が日本人の命を危険にさらすこともあるのだと知りました。しかもですよ、長年に渡って援助活動をし、住民に感謝されていたNGOまで巻き込まれてしまうんだと...。当時、いろいろ考えさせられました。

 

 大分、話が飛躍しましたね。

 

 一方で、こういう状況を担保しているのは他ならぬ我々国民ですね。確かに、自民党は選挙に圧勝しました。だからと言って憲法を勝手に読みかえていいわけがない。そうは書いてないんですから。これは憲法を軽視しているということなんです。国民が権力を縛るための憲法ですが、権力の側が憲法を守っていないということなんです。国民の了承、正しい手順を踏まずに解釈だけ変更してはいけないんです。皆さんがよく知っているとおり、衆議院や参議院の選挙で憲法を直接変えることはできません。

 

 

〔憲法尊重擁護の義務〕


第99条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

 

 だから、おかしいんですよ、今起きていることは。とても、シンプルなんです。集団的自衛権の前に「憲法を遵守せよ!」ということです。

 

 

 7月1日。

2014-07-01 21:45:32
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