集団的自衛権:米、前向き評価大勢

毎日新聞 2014年07月01日 22時44分(最終更新 07月02日 00時21分)

 【ワシントン西田進一郎、北京・石原聖、ソウル大貫智子】安倍政権の集団的自衛権行使を容認する閣議決定に対し、同盟国の米国政府は「歴史的な新たな取り組み」と評価し、歓迎する声明を発表した。一方、沖縄県・尖閣諸島などを巡り対立する中国は警戒感をあらわにし、歴史認識問題で関係が冷え込む韓国は、一定の理解を示しつつも、日本への根強い不信感が高まる恐れもある。

 米国防総省当局者は1日、「集団的自衛権と安全保障問題に関する新たな政策を歓迎する。歴史的な新たな取り組みは、日米同盟における日本の役割を高め、安全保障協力を強化し、地域の平和と安定に寄与する」との声明を発表した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は同日、「第二次世界大戦以降、長年続いてきた軍事上の制約を緩和する安全保障政策の非常に重大な変更を承認した」とする記事を掲載。閣議決定の中身や、毎日新聞など日本の3紙の世論調査で反対が半数以上を占めたことなどを挙げ、国内世論が割れていることなどを伝えた。ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「日本は地域の安全保障でより積極的な役割を果たす方向へ重大な一歩を象徴的に踏み出した」と報じた。

 米国では「日本が普通の国になり、日米同盟もより普通になる」(マサチューセッツ工科大のリチャード・サミュエルズ教授)との見方が一般的だ。日本の安全保障に詳しいサミュエルズ教授は、特に中国に対する抑止力が強化されるなどの利点があると指摘する。ただ、次期駐韓国米大使に指名されたリッパート国防長官首席補佐官は6月17日の上院外交委員会で「透明性を促進し、韓国とよく相談すべきだ」と近隣国との緊張が高まることへの懸念を示した。

 ◇中韓メディア関心高く

 中国では1日、国営中国中央テレビ(CCTV)は、政治家や専門家、市民までが反対する中、安倍晋三首相が解釈変更を押し切ったという論調で伝え、「憲法改正への野心」や「米国が裏で操っている」と評論員が解説した。

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