日本人MLB野手最大の難関
川崎宗則が“遊撃手”で生き残るために
低迷チームの数少ない明るい材料
4月26日(現地時間)、ESPN.comに掲載された“トロント(・ブルージェイズ)は期待を裏切っている”と題された記事内にそんな記述があった。
ベテランのジェリー・クラスニック記者によって書かれたコラムのサブタイトルは、“ホセ・レイエスの代役・川崎は苦しむチームを盛り上げている”というもの。これらのヘッドラインを読めば、優勝候補と目されながらも開幕から低迷しているブルージェイズ内で、川崎の働きが数少ない明るい材料となっていることが伝わって来る。
正遊撃手のレイエスが4月12日(現地時間)の左足首捻挫で戦線離脱したあと、川崎は穴埋めとしてメジャーに定着。ハツラツとした攻守とハッスルプレーで、アメリカのファン、関係者からも注目を集める存在となって来た。
ユーモラスな仕草だけでない、着実な仕事
31歳の日本人遊撃手について尋ねると、二遊間を組むことが多いマイセル・イズタリス二塁手もそう語ってくれた。
とかくフィールド内外でのユーモラスな仕草ばかりが特筆されがちだが、クラスニック氏、イズタリスの言葉にある通り、代役ショートストップとして着実な仕事を果たしていることを忘れるべきではない。
昇格してからの16戦中12戦で、最低でも1度は何らかの形で出塁を果たして来た。もともと定評あった守備でも、巧みなグラブさばきで時にインパクトのあるプレーを生み出している。
4月28日のヤンキース戦では、レフト線際に飛んだ小飛球を滑り込みながら好捕するファインプレー。本人は「自分の打球だと思っていたし、『僕が取らないと』と思ってました」と淡々とコメントしたが、下手をしたら左翼手と激突しかねない難しい打球を迷いなく追ったがゆえに可能になった出色のプレーだった。