公明代表:「限定的に容認」 30日会合で執行部一任
毎日新聞 2014年06月27日 07時30分
公明党の山口那津男代表は26日のNHK番組で、憲法解釈変更による集団的自衛権の「限定的な行使」を容認する考えを表明した。「個別的自衛権に匹敵するような集団的自衛権であれば、一部限定的に容認し、国民の権利を守り、国の存立を全うすることは許されるのではないかと考えるようになった」と述べた。同党は、党内の意見が集約されつつあると判断し、30日に党所属国会議員を対象にした会合を開き、執行部への一任を取り付ける方針も固めた。同日以降に自民党と正式合意したい考えだ。
山口氏は番組で、閣議決定の核となる「新3要件」について「二重、三重の歯止めがきいており、拡大解釈の恐れはないと思う」と受け入れる考えを示した。ただ、従来の慎重姿勢からの転換には党内の批判も根強い。26日の党内会合では、北側一雄副代表が「解釈改憲ではなく憲法解釈変更」などと強調。党独自の想定問答集作りも始め、批判をかわす対策に乗り出した。
また山口氏は26日の記者会見で、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定と従来の憲法解釈との関係について、「1972年の政府見解をベースにすることで整合性と(拡大解釈への)歯止めの機能を持ちうる」との見解を示した。山口氏は4月、憲法解釈の変更による容認が「国民に何も聞かず一方的にやることになり、憲法の精神にもとる」と反対していたが一転した。
政府は閣議決定時に、72年の政府見解を引用し、国民の権利が「根底から覆される明白な危険」がある場合に限って集団的自衛権行使を容認する方針だ。山口氏の発言は、同見解を根拠にすれば、従来の憲法解釈と整合性があると強調したものだ。
公明党は30日までに約50項目の想定問答集を作成し、憲法解釈の変更を容認する理由や、山口氏や漆原良夫国対委員長らが慎重な発言をしてきた真意などを説明する構え。ただ、26日の党内会合で出た北側氏の「解釈改憲ではない」との発言に対し、複数の出席者は会合終了後、「言葉遊びだ」「解釈改憲と報道されれば終わりだ」などと批判した。【高本耕太、田所柳子】