想定問答集:政府、集団安保容認を明記 「限定」方針逸脱

毎日新聞 2014年06月27日 07時45分

 集団的自衛権の行使容認などの憲法9条の解釈変更を国会などで説明するため、政府が作成した想定問答集が26日、判明した。国連安全保障理事会の決議に基づく集団安全保障が「新3要件」を満たすなら、「憲法上武力の行使は許容される」と、集団安全保障での武力行使の容認を明記。さらに戦時の機雷掃海は他国の領海内でも可能とした。集団的自衛権の行使は「時の内閣が総合的に判断」するとし、「限定容認」というこれまでの政府の主張から大きく逸脱する内容だ。

 想定問答集は行使容認について「解釈の一部変更だが、解釈改憲ではない」と説明。行使はできないとした1972年の政府見解を挙げ、「この見解の枠内で導いた論理的な帰結」として、同じ見解から逆に行使容認を導き出しても問題はないと強調した。逆の結論に変わる理由は国際的な力関係の変化や技術革新を挙げ、日本の安全保障に「直接影響を及ぼすことがあり得る」ためとしている。

 自衛権発動の3要件に代わる新3要件は「自衛の措置としての『武力行使の3要件』」と明記した。「他国の防衛が、我が国を防衛することになることは想定される」とする一方、武力行使は「あくまで受動的で(憲法の)専守防衛は不変だ」と「自衛」のイメージ強調に努めている。

 政府が示した集団的自衛権に関する8事例は、いずれも憲法上許されるとし、「実際には状況に応じて判断する」と行使容認の範囲が拡大することを示唆。戦時の機雷掃海や民間船の護衛も新3要件を満たせば許されるとし、さらに邦人が乗っていない船の護衛も可能だとしている。

 行使容認の地理的制約については「自(おの)ずから限界がある」とするにとどめ、範囲を明示していない。日本が防衛する「他国」の範囲も、同盟国・米国に加え、政府が「状況に即して判断」するとし、適用の拡大を示唆した。

 想定問答は新3要件を厳守することで、「憲法上歯止めがないということではない」とアピールしている。だが、与党の新3要件案は、他国への攻撃でも「国民の権利を根底から覆す明白な危険」があると政府が判断すれば、武力行使が可能となる。想定問答も具体的な歯止めは示さず、新3要件に当たるかどうかは「客観的、合理的に」政府が判断するとした。

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