集団的自衛権:1日に与党合意へ 政府が再修正案提示
毎日新聞 2014年06月27日 12時10分(最終更新 06月27日 13時03分)
政府は27日午前の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、集団的自衛権の行使容認を含む閣議決定案を示した。自民、公明両党の要求を受けて再修正したもので、憲法9条解釈変更について「国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある」と明記。「自衛の措置」として、集団的自衛権に加え、国連の集団安全保障の下での武力行使も否定せず、従来の憲法9条解釈を大きく踏み越え、日本の武力行使を全面解禁する道を開く内容だ。自民党の高村正彦副総裁は「いよいよ最終案を取りまとめる」と述べ、次回7月1日の協議会で与党合意を図る考えを示した。同日中に閣議決定する見通しだ。
自公両党は協議会で、武力行使が「国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合もある」としていた閣議決定原案について「場合がある」と修正することで合意した。国連決議に基づく集団安保で、「自衛」以外の目的で武力行使に参加できるという印象を弱めるため、公明党が修正を求めていた。
高村氏は「憲法の法理は100%維持する」と述べ、解釈改憲ではないと説明。公明党の北側一雄副代表も「憲法の規範は100%継承される」と足並みをそろえた。だが高村氏は集団安保の武力行使について「今の段階では決めていない。白地の状態だ」と、可能性が残ることを念押しし、公明党は受け入れた。自民党幹部は「意味は変わらない。公明がこだわるから表現を変えただけ」と述べた。
閣議決定案は集団的自衛権の行使容認について、他国への武力攻撃であっても「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合、武力行使を認める新3要件の内容を改めて示した。また「国際法上の根拠と憲法解釈は区別する必要がある」とし、憲法解釈上は個別的・集団的自衛権と集団安保を念頭に「自衛の措置」とだけ説明した。
また、国連平和維持活動(PKO)などの国際協力では、「非戦闘地域」に自衛隊の活動を限る従来の仕組みを撤廃。他国軍が「現に戦闘行為を行っている現場」でなければ、戦闘の可能性がある戦闘地域であっても他国軍に後方支援を行うよう「法整備を進める」と明記した。