集団的自衛権:懸念される自衛隊の「ブラックボックス化」

毎日新聞 2014年06月27日 19時47分(最終更新 06月27日 19時58分)

5度にわたり「墨塗り」公開されたイラク派遣中の空自「週間空輸実績」=イラク派兵差し止め訴訟原告団提供
5度にわたり「墨塗り」公開されたイラク派遣中の空自「週間空輸実績」=イラク派兵差し止め訴訟原告団提供
防衛省が全面公開したイラク派遣中の空自「週間空輸実績」=イラク派兵差し止め訴訟原告団提供
防衛省が全面公開したイラク派遣中の空自「週間空輸実績」=イラク派兵差し止め訴訟原告団提供

 冒頭に紹介した空自の空輸実績のようなデータは、秘密保護法施行後は「墨塗り」されてしまうのか。公的機関の情報公開を進めるNPO法人、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「『特定秘密』に指定される情報の多くが現行法下の『防衛秘密』と予想されており、非公開範囲が直ちに広がるわけではない」としたうえで、「今後、集団的自衛権の行使が容認されれば、そのための自衛隊の活動に絡む同種文書は特定秘密に指定される可能性が高い。最高で懲役10年の罰則がある特定秘密保護法が施行されれば、内部告発は今まで以上に難しくなるだろう」と解説する。

 公明党は、集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐり「与党協議で武力行使に一定の歯止めをかけた」とする。だが、もし勝手に歯止めを外すような活動があっても「特定秘密」として開示されなければ誰も検証できない。

 川口弁護士は「新しい閣議決定は歴代政権の憲法解釈を逸脱しており、違憲、無効だと訴えていく。閣議決定に基づく法律や自衛隊の派遣にも違憲、無効の疑いが生じる。しかし、証拠の収集が罪に問われ、内部通報も期待できない状況では、違憲裁判自体が成立しなくなる恐れがある」と訴える。

 違憲の疑いのある閣議決定を経て戦地に派遣され、その活動を国民の目から隠される自衛隊員たちはどうすればいいのか。これは立憲国家の根幹に関わる問題だ。【浦松丈二】

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