毎日世論調査:集団的自衛権「反対」58%
毎日新聞 2014年06月29日 09時00分
毎日新聞は27、28両日、全国世論調査を実施した。政府が近く集団的自衛権の行使を容認する方針となったことについて賛否を聞いたところ、「反対」が58%で、「賛成」の32%を上回った。政府・与党の説明が「不十分だ」とする人は81%で、「十分だ」とする人の11%を大きく上回った。安倍内閣の支持率は前回の5月調査より4ポイント低い45%。第2次安倍内閣発足以来、最低となった。不支持率は35%で前回調査より2ポイント増え、これまでで最も高くなった。
◇安倍内閣支持4ポイント減の45%
行使に賛成の人のうち、戦争に巻き込まれると「思う」と答えた人が60%だったのに対し、反対の人のうちでは83%が「思う」と答えた。行使容認をめぐって自民、公明両党が与党協議を続けているが、巻き込まれると「思う」との回答は、自民党支持層は約6割だったのに対し、公明党支持層は約7割と差が出た。
また、安倍晋三首相が、行使を可能にすれば、他国が日本を攻撃することを思いとどまらせる「抑止力」になると説明していることについて尋ねたところ、抑止力になると「思う」と答えた人は27%にとどまり、「思わない」は62%だった。行使に反対する人のうちでは86%が抑止力になると「思わない」と答えた。首相は5月15日の記者会見で、行使容認で「あらゆる事態に対処できるからこそ、抑止力が高まり、紛争が回避される」と述べるなど、抑止力強化につながるとの考えを繰り返し説明しているが、国民への理解は十分には広がっていない。
政府が集団的自衛権の行使容認を急ぐのは、中国軍の海洋進出などで日中間の緊張が高まっていることも背景にある。5〜6月に東シナ海で中国軍機が自衛隊機に異常接近する事態が繰り返し起きたことを巡り、日中間で予期しない戦闘が起こり得ると思うかとの問いには、「思う」が49%で、「思わない」が39%だった。前回5月調査では、中国が日本の安全を脅かしているかとの質問に「思う」が8割を超えている。
首相が企業が払う法人税の実効税率を来年度から段階的に引き下げる方針を示したことについては、「賛成」は38%で、「反対」の46%を下回った。消費税率が今年4月に引き上げられたばかりで、法人税率を下げることには世論の抵抗が強い。