栄藤 2012年3月のサービス開始当初は国内のクラウドプロバイダーを利用していたのですが、ありがたいことに短期間でユーザー数が急速に増え、たちまちサーバーの容量が足りなくなってしまいました。また、テレビCMを打つとアクセス数が一気に30倍に跳ね上がるなど、トラフィックの急変動に対応する必要性も生じました。
これらの差し迫った課題を一気に解決するには、サーバー容量を迅速かつ無制限に増減できるAWSを利用する以外にないと判断したのです。
しかし、当時の当社にはAWSのベストプラクティスをつくれるノウハウがありませんでした。そこで日本におけるAWSのトップランナーであるcloudpackに設計から構築、運用までのコンサルティングをお願いすることにしました。
株式会社NTTドコモ
執行役員 R&D戦略部長
工学博士
栄藤 稔氏
Minoru Etoh
広島大学大学院修士課程修了。松下電器産業(現パナソニック)入社。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、大阪大学、NTTドコモのシリコンバレー拠点を経て現職。NTTドコモ執行役員としてR&D戦略を担当。専門はモバイルマルチメディア、モバイルネットワーク、パターン認識など。
栄藤 何しろサービス開始直後からユーザー数が急速に膨れ上がりましたからね。事態は急を要しました。しかし、cloudpackの迅速な対応のおかげで、ユーザーに迷惑をお掛けすることなく、「しゃべってコンシェル®」のサービスを提供できる万全の体制が整いました。
齋藤 膨大なユーザーが利用するインフラを短期間でAWSに移行するのは、我々にとっても非常にチャレンジングな仕事でした。しかも、電話会社であるNTTドコモ様のサービスには99.99%以上の可用性(信頼度)が求められており、それを満たせるしっかりとした基盤をAWS上に構築しなければなりません。時間は限られていましたが、AWSの能力が最大限に引き出せるように努力しました。
アイレット株式会社
(cloudpack)
代表取締役CEO
齋藤 将平氏
Shouhei Saito
1977年、千葉県生まれ。ベンチャー企業にて大規模な予約システムの設計から構築、運用までを一手に担当。2003年、ITの最先端技術を追い掛ける技術者集団としてアイレット株式会社を設立し、代表取締役に就任。2010年4月、同社の新サービスとしてcloudpackをリリースする。
栄藤 当初は早急な容量対策が求められていました。そこで、すぐにでも受け入れ可能だった北カリフォルニアを選びました。
その後、物理的な距離による遅延時間の発生を解消するため、東京リージョンに移し替えたのです。
後藤 東京リージョンに移行したのは2012年9月ですが、「しゃべってコンシェル®」のユーザー数はさらに増えて数百万規模に達していました。それだけの膨大な数を一気に移行させると、さまざまな障害が発生しかねません。そこで、少しずつ東京に移行し、何か問題が発生すれば、すぐに北カリフォルニアに戻せるように作業しました。
このように、フレキシブルな対応ができたのも、AWSが世界最先端のすぐれた機能を持つインフラだからだと思います。
栄藤 おかげでサービスに何ら影響を及ぼすことなく、巨大なサービスを東京に移行できました。もちろんAWSだからこそ可能だったのですが、AWSのすべてを知り尽くし、その可能性を最大限に引き出せるcloudpackの力が非常に大きかったのだと思います。
栄藤 cloudpackの協力のもと、「しゃべってコンシェル®」のサービスログが大量にAWS上に残る仕組みを構築しました。その解析データをサービスの改善に役立てていますし、ビッグデータ解析への活用も視野に入れています。
また、AWSとの出会いによって、我々のシステム開発や運用に対する考え方も大きく変わりました。共有責任モデルもその一つです。構築や運用上の課題をベンダーに押し付けるのではなく、発注者も相応の責任を負って解決に臨んだほうが、より早く求めるものが得られることをcloudpackとのコラボレーションを通じて学びました。
齋藤 責任共有モデルに沿ってプロジェクトに取り組んでいただいたおかげで、我々としても仕事が進めやすくなりましたし、何よりもNTTドコモ様との意思疎通が深まって、プロジェクトの完成度が上がりました。 これからも、課題と責任を共有するパートナーとして、「しゃべってコンシェル®」の発展を側面から応援させていただきたいと思っています。
栄藤 NTTドコモとしては、BtoCだけでなく、BtoBの要求にも応えられるセキュリティ要件を備えたインフラの構築を目指しています。そして、それはAWSなら実現が可能です。cloudpackには今後、その実現に向けての支援も期待したいですね。
アイレット株式会社
(cloudpack)
エバンジェリスト
後藤 和貴氏
Kazutaka Goto
筑波大学第三学群情報学類卒業後、日本オラクル入社。米国本社のOracle Corporationに転籍後、ウェブ関連製品の開発などに携わり、プロジェクトマネジメント担当取締役として経営にも参画。現在はアイレット株式会社にてcloudpackの認知とともにAWS市場を広げる活動を実行中。
アマゾン データ
サービス ジャパン株式会社
技術本部 本部長
玉川 憲氏
Ken Tamagawa
AWSは日本、米国、豪、欧州、ブラジル、シンガポール、中国にデータセンターの集合体(リージョン)を持ち、日本のお客様も世界8リージョンから自由に選択利用できます。その規模感もグローバルで、Amazon.comが約7000億円企業のころに全社に必要だったサーバー数と同じだけの数を、現在AWSでは毎日追加しています。各リージョン内には地理的に離れた複数のデータセンター群(アベイラビリティゾーン:AZ)を提供。一つのゾーンで障害が発生しても他のゾーンで継続運用できるため、ドコモ様のような高い可用性要件をクラウド上で設計できます。