集団的自衛権:NGO、駆け付け警護に危機感

毎日新聞 2014年06月29日 11時30分

 集団的自衛権行使に関する閣議決定案に盛り込まれた外国での「駆け付け警護」に対し、海外の紛争地を中心に活動する非政府組織(NGO)から批判の声が上がっている。自衛隊が活動することによって、NGOにとって大切な「中立性」が失われ、逆に危険にさらされるからだ。長年の経験があるNGOの代表者2人に話を聞いた。【小山由宇】

 「これまで日本人が世界で築き上げてきた信頼が崩れてしまう。『駆け付け警護』や、集団的自衛権行使の容認は絶対にやめてほしい」。アフガニスタンなどで1984年から医療や農業での支援を続けている「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表、中村哲医師(67)は危機感をあらわにする。

 中村さんによると、アフガニスタンでは日本人は特別扱いされているという。中村さん自身、武装集団に軟禁されたり、タリバン政権に逮捕されたりしたことがあるが、日本人と分かると釈放された。「『日本は武力行使しない国で、侵略することはない』と思われている」と話す。

 「対照的なのはドイツ」と中村さんは指摘する。ドイツは従来、外国への派兵をNATO(北大西洋条約機構)域内に限定していたが、90年代に域外派兵を始め、アフガニスタンにも治安維持部隊を送った。中村さんによると、派兵以前は好感を持たれていたドイツのNGOが今では攻撃のターゲットになっているという。「ドイツは後方支援や治安維持のつもりだったのだろうが、現地の人からは侵略軍の一員と見られているからだ」

 中村さんは現地での活動の際「あらゆる勢力と等距離を保つこと」を心掛けている。日本政府に対しても「敵を作らない外交努力を進め、さまざまな国と信頼関係を築いてほしい。重要なのは、誘拐などの事件を未然に防ぐ予防措置だ」と要望する。「これまでの日本の国際貢献に感謝している人はたくさんいる。ODA(政府開発援助)やNGO活動で協力していくべきだ。日本はそれをできる数少ない国だ」と話す。

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 「『NGOを警護』と言うが、軍隊と行動すれば、逆に攻撃される危険が高まる。『駆け付け警護』についての安倍晋三首相の例示にはリアリティーがない」。スーダンやアフガニスタン、イラクなどで30年以上医療、農業支援などを手掛けてきたNGO「日本国際ボランティアセンター」(JVC)の谷山博史代表理事(56)も懸念する。

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