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【平和国家どこへ】「法治主義の否定だ」 突き進む“解釈改憲”に識者が懸念


 国会議事堂を背景に、憲法解釈の変更に慎重な姿勢を示した2004年の政府答弁書の写真を掛け合わせたコラージュ

 集団的自衛権の行使容認に向けた与党協議は大詰めを迎え“解釈改憲”が現実味を増す。憲法解釈変更という手法の是非が顧みられる様子はなく、識者らは「法治主義の否定だ」「歯止めのない『強弁政治』の前例となる」と懸念を募らせる。

 ▽人治主義

 「改正手続きのハードルを下げることで『憲法を国民の手に取り戻す』と1年前には言っていたのに、改正の権利を国民から奪うようなものだ」
 上智大の 高見勝利(たかみ・かつとし)教授(憲法学)は安倍晋三政権をこう批判する。集団的自衛権について、国民の意思を直接問う憲法の改正ではなく解釈変更で「行使できない」から「行使できる」へと百八十度変えようとしているためだ。
 憲法の基本原理の「平和主義」。それを具体化したのが戦争放棄、戦力不保持を掲げた9条だ。その解釈から、政府はこれまで、自国への攻撃がないのに武力を使う集団的自衛権の行使を禁じてきた。
 安倍政権の試みは、従来の9条解釈の拡大で「政府を縛る憲法上の制約が失われる。立憲主義国であり得ない」と高見教授。「これでは法治国家ではなく、政治家が思い通りに物事を決める人治国家だ」と案じる。

 ▽一線越え

 「憲法解釈の変更について2004年に閣議決定した答弁書を読んでください」。3月4日の参院予算委員会で、共産党の小池晃氏が求めた。
 答弁したのは当時の内閣法制局長官、 小松一郎(こまつ・いちろう)氏(6月23日死去)。小泉純一郎政権時の答弁書を硬い表情で読み上げた。
 「変更がおよそ許されないものではない」とする一方で「政府が自由に解釈を変更できる性質のものではない」「便宜的、意図的に変更すれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものへの国民の信頼が損なわれかねない」という内容だ。
 テロ対策、イラク復興支援の両特別措置法で自衛隊の海外での活動領域を広げた政権が守った、その一線だった。

 ▽あしき前例

 9回を数えた与党協議の大半は、集団的自衛権行使容認を前提とした事例の検討や、閣議決定案の文言をめぐる調整に費やされた。こうした状況を、首都大学東京の 木村草太(きむら・そうた)准教授(憲法学)は「合理的な法解釈ではなく、どういう表現であれば公明党が『いい』と言うのか、政治的な妥協の話になっている。きちんとした法律論が必要だ」と訴える。
 10日、飯島勲内閣官房参与は米国での講演で、公明党と支持母体の創価学会の関係に言及。公明党が「政教分離」を定める憲法規定に抵触しないとする主張の根拠としている政府の憲法解釈が見直される可能性に触れた。
 行使容認に慎重な公明党への揺さぶりとみられたが、政権の「意図的な解釈変更」が広がる恐れはないのか。木村准教授は「安倍政権は現にやりつつあるし、悪い癖がつくのが心配だ」と警鐘を鳴らす。「一度許すと『必要だから必要だ』との強弁で、憲法の歯止めを超えた政策が推し進められかねない。あしき前例をつくってはいけない」

 (共同通信)

2014/06/27 12:17

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