集団的自衛権:基地の街、消えぬ不安「戦争巻き添えに」
毎日新聞 2014年07月01日 11時38分(最終更新 07月01日 12時28分)
自民、公明両党が1日、憲法の解釈変更で集団的自衛権の行使を認めることで合意し、午後に閣議決定する。これで日本が米国などの戦争に参加することが可能となり、在日米軍や自衛隊の基地周辺では「基地が攻撃対象となるのでは」と不安の声も上がる。
◆神奈川県
米海軍や海自の横須賀基地を抱える横須賀市の巴ふささん(65)は「立憲主義の否定で許せない」と行使容認に憤慨する。「横須賀市民九条の会」の共同代表を務める。27市民団体とともに約3週間で4449人の署名を集め市議会に容認反対の意見書提出を求めたが、不採択になった。「自衛官が殺されたり、殺したりするようになり、テロで攻撃される恐れもある。街を歩いている若い自衛官を見ていると涙が出る」と話した。
市内に住む海上自衛官(43)は「仮に米軍の艦船を守る命令が出れば行かざるを得ない。日本の商船を守るのは納得できるが、湾岸地域まで行って戦闘中の米艦船を守ることが、果たして自衛権なのか」と苦しい胸の内を明かした。
米海軍厚木基地(大和市、綾瀬市)や在日米陸軍キャンプ座間(相模原市、座間市)の撤去などを訴える相模原市の金子豊貴男市議は「米軍基地を抱えていれば当然、私たちも戦争に巻き込まれる」と警戒する。キャンプ座間は、米本土が攻撃された場合、戦闘作戦の指定拠点になると想定され、行使容認が住民の危険に直結すると訴える。
一方で、住民が基地と共存してきた事情もある。厚木基地がある大和市で、電子部品製造会社を経営する政森信之さん(72)は「国からの基地交付金で、保育園や学校設備の充実を図ってきた。市民も基地の恩恵を理解しているのではないか」と話す。【田中義宏、長真一】
◆長崎県
「戦争に加担する行為は許せない」。米海軍と海上・陸上自衛隊の基地が混在する長崎県佐世保市。篠崎義彦さん(81)は行使容認に憤る。
1200人以上の死者を出した1945年6月29日の佐世保空襲で、実家を焼失した。「佐世保は明治以来の海軍の街だから狙われた」と語る。集団的自衛権で佐世保は米海軍と海自の一体化がより強まると予想される。「世界の争いに巻き込まれるのでは、と不安を感じる自衛隊員や家族も大勢いる」