集団的自衛権与党合意:「国民への説明重要」閣僚ら要望

毎日新聞 2014年07月01日 11時50分(最終更新 07月01日 13時08分)

首相官邸に入る安倍晋三首相=2014年7月1日午前9時47分、西本勝撮影
首相官邸に入る安倍晋三首相=2014年7月1日午前9時47分、西本勝撮影

 集団的自衛権に関する与党合意が整ったことを受け、政府は1日夕の臨時閣議で、行使容認を閣議決定する。安倍晋三首相は「積極的平和主義」の外交理念を具体化するため、今後、自衛隊の活動拡大に向けた法整備を本格化させる。しかし、「専守防衛」を柱とする戦後の安全保障体制を、憲法解釈変更によって大きく転換する手法への批判は強い。それだけに、与党幹部や閣僚からは世論の理解を求める意見が相次いだ。

 首相は1日午後、公明党の山口那津男代表や与党協議の責任者と会談した後、臨時閣議を開く。首相が第1次政権から目指してきた行使容認に道筋はついたが、自民党の石破茂幹事長は1日午前の記者会見で「国民のさまざまな懸念にどう応えるかが極めて重要だ。党と一般の方々の意識に乖離(かいり)があるのは事実だ」と認め、国民への説明に努める考えを強調した。

 憲法解釈変更への慎重論が強かった公明党は、閣議決定を急ぐ首相に押され、約1カ月半の与党協議で自民党と妥協した。臨時閣議を前に、公明党の太田昭宏国土交通相は会見で「党内手続きの推移を見守っている。それ以上は申し上げられない」と述べ、閣議決定案の評価には踏み込まなかった。

 また、菅義偉官房長官は会見で、世論の批判を踏まえ「法整備の段階で国会でも議論する。その中で国民の理解を得られると思う」と語った。今後の法整備については「かなり長い時間をかけて、国会で慎重に審議を重ねていきたい」と述べた。

 谷垣禎一法相は「憲法解釈の安定性、国民の理解を重視していかなければならない」、岸田文雄外相は「平和国家としてのわが国の歩みは変わらない。(各国にも)丁寧に説明していく」とそれぞれ会見で語った。【小田中大】

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