“卵子提供を受け出産”増加 なぜ海外へ? 日本の現状は・・・
子どもができない、不妊を心配したことがある、または現在心配している夫婦の割合は3組に1組と言われています。ある42歳の日本人女性もその1人です。彼女は、台湾にある目的で渡航しました。それは卵子提供です。台湾の女性から提供してもらった卵子と、この日本人女性の夫の精子を体外で受精させ、その受精卵を日本人女性の体に入れて妊娠を試みようというのです。
なぜ彼女は、台湾に渡らなければならなかったのでしょうか。
「何回泣いたか分からないです、この不妊治療の間に。生理が来るたびに涙ですね、またかまたかという感じ」(不妊治療をする42歳の女性)
福岡県北九州市に住む42歳の女性。2年前、不妊治療を始めました。40歳で子どもを出産しましたが、その後、なかなか妊娠しないといいます。
「これは1回目の体外受精のときの資料」(不妊治療をする42歳の女性)
自分の卵子を取り出し、夫の精子と受精させて体内に戻す体外受精などを何度も試みてきました。1回目の体外受精の結果は流産。2回目は妊娠しませんでした。3回目も試みようとしましたが、卵子を取り出すことができず、断念しました。原因は、加齢。つまり、卵子の老化によるものとみられています。
「採卵ができないっていう時点で自分の卵子では難しいと思った」(不妊治療をする42歳の女性)
女性は、第三者からの卵子提供による体外受精に踏み切ることにしました。ですが、日本には第三者からの卵子提供について定めた法律はありません。医師に相談した女性は、台湾での卵子提供を提案されました。
医師への相談からおよそ半年後の6月6日、女性は台湾に渡っていました。台湾では、2007年に第三者からの卵子提供を認めた法律、「人工生殖法」が施行されました。夫婦であることなどが確認されれば、外国人でも卵子提供を受けることが可能です。病院で手術を受ける前日、女性は胸のうちをこう明かしました。
「できれば日本人がよかったが、それが不可能ということで、『日本人に近い台湾の人ならいいかな』と納得した。自分で産むということには違いはない。(自分の)遺伝子がいくらなくても私が産むんだから、私の子だと思って育てようと決心した」(卵子提供を受ける42歳の女性)
手術当日。台湾の女性から提供を受けた卵子と、女性の夫の精子とでつくられた受精卵。凍結保存されていた8つの受精卵のうち、2つを子宮の中に入れる手術が行われます。女性には、条件に合う22歳の大学生の卵子が提供されました。
「この白い点が胚(受精卵)です」(病院の通訳)
「はい」(卵子提供を受ける女性)
カテーテルを使って、2つの受精卵が女性の子宮に相次いで入れられました。
「オッケー、フィニッシュ」(医師)
手術はわずか7分で終わりました。
「(受精卵が入るのは)はっきり分かりましたね。『無事に着床して育ってください』という思いでした」(卵子提供を受けた女性)
卵子提供による体外受精のための費用は150万円ほど。このうちおよそ30万円は、法律で認められている卵子提供者への「栄養費」という名目。つまり、謝礼金です。
どのような気持ちで卵子を提供するのか、このクリニックで去年、卵子を提供した女性に話を聞くことができました。
「やはり若い卵子が必要とされているので、やってみたいと思いました。(謝礼金なしでの卵子提供は)難しいです。本当に注射が多く、時間もかかり、おなかが張ったうえ、気分もすぐれなかった。採卵後もとても調子が悪かった」(卵子提供経験者[26歳])
このクリニックには現在、卵子提供者が40人ほどいますが、不妊に悩む女性たちからの相談は世界各国から年間2000件以上あるといいます。
「日本各地から東京や大阪だけでなく、地方から来る人も多い」(宏孕生殖医学センター 張 宏吉院長)
日本からも週に2組ほどの夫婦が相談に訪れ、その数は増えているといいます。実は、卵子提供を受け、日本で出産した人は年々増加しています。今や1年に300人ほどと推計されますが、多くは海外で卵子提供を受けています。では、なぜ海外へ渡るのでしょうか。
日本には、卵子提供について定めた法律はありません。病気による不妊などに限って、一部の医療機関で実施されることもありますが、極めてまれです。
この状況を変えたいと、去年1月、病気による不妊の女性のためにボランティアでの卵子提供者を募りあっせんする全国初のNPOが設立されました。設立からおよそ1年半、不妊に悩む人たちからの相談は後を絶ちませんが、卵子提供者の数は20人ほどにとどまっていて、現在、新規の相談は受け付けられていないといいます。
「日本で卵子提供の法整備ができてほしいし、体制が整って、私も子どもを産みたいっていう涙のお電話をたくさん頂く。(不妊相談の)募集は1日も早くしていきたい気持ちは最初からあるが、申し訳ない思いでいっぱい」(卵子提供をあっせんする NPO「ODーNET」 岸本佐智子代表)
専門家は、卵子提供で生まれてきている子どもたちがいる限り、法制化を急ぐべきだとしています。
「どうしても日本で行うということになると、(卵子提供は)無償ということになる。日本はドナー(提供者)がいないので、法律がないことが大きな問題だが、それ以上にドナー(提供者)を集めることが、今後、大変になってくるだろう」(慶応義塾大学 吉村泰典名誉教授)
台湾で受精卵を子宮に入れてから11日。女性は妊娠しているかどうかの検査を受けました。
「結果、出ました。妊娠してます」(医師)
「本当ですか。嘘ですよね?」
受精卵は着床していました。医師は、切迫早産などのリスクが高いことについて説明しました。子どもがほしいと願う人たちの不妊治療を、どこまで可能にするのか。課題が突きつけられています。(30日23:24)
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