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【政治】

集団安全保障を容認 政府、想定問答集に明記

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 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更にからみ、政府が作成した想定問答集で、国連の集団安全保障に基づく武力行使に関し「新三要件を満たすならば憲法上『武力行使』は許容される」と、容認する見解を盛り込んでいることが二十七日、分かった。集団安保は国連が侵略国などへの制裁として多国間の枠組みで対応する措置。自民、公明両党は閣議決定案に明記しないと確認済みだが、これに逸脱することになる。政府の判断次第で海外での武力行使の範囲が拡大する懸念も強まった。

 想定問答集では、集団安保での武力行使について、停戦前に集団的自衛権を行使して機雷掃海中、国連安全保障理事会の決議が出された場合を想定。答弁部分で「決議が採択されたからといって、新三要件を満たす活動を途中からやめなければならないわけではない」と、活動の継続は可能との見解を示した。その理由として「国際法上は安保理決議が根拠になるが、憲法上はわが国による自衛の措置」と、根拠を国際法上と憲法上で使い分けた。

 しかし、集団安保は多国籍軍などが武力制裁を加えるもの。問答集では「かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはない」と強調するが、実際の活動は自衛の措置の逸脱にもつながる。

 与党協議でも、自民党が機雷掃海が中断しないよう閣議決定案に盛り込むことを提案したが、公明党は武力行使の範囲が際限なく広がると反発。閣議決定の最終案には盛り込まれなかった経緯があり、公明党が再び反発する可能性がある。

◆想定問答集の中の集団安全保障に関する記述

 かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはない。

 武力攻撃が発生した直後に、あるいはわが国が「新三要件」を満たす活動を実施中に、国連安保理が武力行使を容認する決議を採択しても「新三要件」を満たすならば、憲法上「武力の行使」は許容される。国連安保理決議が採択されたからといって、「新三要件」を満たす活動を途中でやめなければならないわけではない。この場合、国際法上、国連安保理決議が根拠となるが、「新三要件」を満たす「武力の行使」は、憲法上、わが国による自衛の措置として許容される。わが国が実施できる活動が、集団的自衛権が根拠となる場合より広がることはない。

 わが国有事の際に国連安保理決議が採択された場合についても、従来から、これと同様の考え方。

 <集団安全保障> 国連を中心とした国際社会が他国を侵略した国に対して団結して制裁を科し平和を維持する仕組み。1990年にクウェート侵攻したイラク軍を、安保理決議に基づく多国籍軍が攻撃した例がある。政府は、武力を伴う集団安全保障への参加は憲法で禁じられていると解釈してきた。同盟国などへの武力攻撃を自国への攻撃と見なして阻止する集団的自衛権が主として自国と連携先の2国間関係を対象に議論されているのに対し、集団安全保障は多国間の枠組みが基本となる。

 

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