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2014-07-01

「評伝ナンシー関」文庫化。「ベビーカー騒動」のくだりが印象的だった

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内容紹介

消しゴム版画家ナンシー関の死から10年以上が過ぎた。

一向に古びない彼女の文章やハンコ、

さらに、いとうせいこうリリー・フランキーみうらじゅん宮部みゆきをはじめ、

さまざまなインタビューを通して重層的に希代のコラムニストの生涯に迫る。

今月、文庫になったのだという。

で、文庫になる前の版で印象に残った…というか、最近の話題に関係して思い出したのだが、ここには「ベビーカー騒動」という一件が語られている。文章自体は、ナンシー単行本に未収録としたそうだ。

上のアマゾン目次でいうと

「第五章 ナンシー関の全盛期」

・ページはじまって以来の抗議の投書

です。

本当はこのくだりをちゃんと引用したいのだが、今手元に本が無いので、「ナンシー関」「ベビーカー」で検索

ナンシー関さんが、一列に並んで歩くベビーカーママたちを「無敵艦隊」と表現して、今でいう「炎上」騒ぎになったけれど、この言葉には深い愛があるのだけれどなぁ。ナンシーさんが生きてらしたら、このニュースについてなんて言うかなぁ。生きていてほしかったなぁ。

 

ナンシー関が「ベビーカーを押している母親の自信満々さ」について書いたことがあった。反論多数。その後、彼女はその手の話題に触れなかった。根深い。独身と子持ち。共通言語が見付けにくい。中村珍は子持ちを「階級」と定義。強靭な「路上の知恵」。http://p.tl/7nKi

 

乙武さんの件、ぼくはナンシー関の「ベビーカーを押し歩く母親のタチの悪さ」の新聞記事に抗議が殺到した20年前の逆版かと見ていたが、やはりネットは議論の拡散力がケタ違い。差別サービス業のこと以上に、メディア空間のありようを考えさせる事例だと思った。

 

「評伝ナンシー関」で、ナンシー単行本にあえて掲載しなかった文章が紹介されていた。それはベビーカーを押しながら歩く母子の「自己陶酔」ぶりに疑問を投げかける文章で、当時、批判殺到したらしいのだが、最近も同じような論争あったなあ。

 

15年程前、ナンシー関ベビーカーの母親に「絶対的正しさ」を見て批判した話。つい最近もベビーカー論争が起きていたが、今のように普通に論争になる空気であれば、ナンシーはあえて批判していなかったのではないか、とも思う。端的に世間空気に余裕がなくなってきている。

 

「タチが悪いといえば、ベビーカーを押しながら歩いている母親ほどタチが悪いものはない。」(『母子像の自己陶酔はイヤらしい』ナンシー関)。 (この文章には抗議の投書が殺到して、関も書籍に収録しなかったらしい...)

 

ナンシー関が、一列に並んで歩くベビーカーママたちを「無敵艦隊」と評したのは言いえて妙だった

うん、だいたいこんな感じだが、評伝では

これへの母親の反論、抗議がすごくあったと書かれている。

で、その反論の中でひとつの中心となっていたのが

子どもを産んだこともないくせに」「子育てをしたことがない人にはわかりません」(大意)

だったという。

これを読んだ時に、「えーと、どっちがポリティカル・コレクトに則して、どっちがポリティカル・コレクトに反しているのだろう…」と。


あるいはどっちも、なのかもしれんのだが。

とにかく、ここのくだりが非常に印象に残ったなりよ。

こんな催しがある。

http://10over9-readingclub.jp/?page_id=1504

★7月5日(土)「心に一人のナンシーを」育む! ため読書―『評伝 ナンシー関文庫化記念スペシャル対談

ゲスト小田嶋隆氏(コラムニスト)×横田増生氏(ジャーナリスト

消しゴム版画家としてコラムニストとして活躍したナンシー関さんが急逝して、この6月で12年になります。


ソーシャルメディアが普及し、「一億総ツッコミ時代」とも言われるいま、その“元祖”的存在とも言えるナンシーさんの仕事には、世の中の見方や気づきを新たにするヒントもあるかもしれません。

『評伝 ナンシー関―心に一人のナンシーを』の文庫化を機に、この日のReadingClubには、著者の横田増生さん、ナンシーさんと対談したこともある小田嶋隆さんをゲストにお招きし、ナンシー関の著作はもちろん、「世間への観察眼や批評眼(ツッコミ力)を育む」という視点から、幅広いジャンルの書籍を対談スタイルでオススメしていただきます。

(略)

★日程:7月5日(土)14時〜17時

★会場:東京スクエアガーデン6F 環境情報センター 研修室(東京都中央区京橋3-1-1)

アクセス

東京メトロ銀座線京橋駅」3番出口直結

東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅」7番出口より徒歩2分

都営浅草線宝町駅」A4番出口より徒歩2分

★会費:2,500円(税込)

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