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 ニンテンドー3DS用ゲーム「妖怪ウォッチ」(レベルファイブ)が発売されて来月で1年。アニメ、マンガ、玩具にまで広がり、小学生を中心に社会現象と言えるブームを巻き起こしている。「21世紀のポケモン」とも称されるメガヒットのかぎを探ってみると、作品世界を覆う「日常性」が浮かび上がってきた。

 「妖怪ウォッチ」の舞台は日本のそこかしこにありそうな街・さくらニュータウン。物語は、主人公が妖怪を発見できる時計を手に入れることから始まる。見つけた妖怪と仲良くなるとメダルが手に入り、主人公の指示で戦ってくれるようになる。遊び手はお気に入りの妖怪軍団を率い、街で起きる不思議な事件を解決していく。

 ゲームはロールプレイングゲーム(RPG)でありながら、主人公が異世界を冒険して成長していく王道の作りとはかなり趣が異なっている。妖怪たちが見つかるのは路地裏や駐車場の車の下など、あくまでも現実の街のそこかしこ。さらに横断歩道は青信号で渡らないと注意されたり、家に入るときに靴を脱いだりと妙にリアリティーがある。「ドラえもんのように長く愛される作品にするにはどうすればいいかを考えて作りました。現代に生きる子供たちが共感できる世界観をRPGで表したかった」とレベルファイブの日野晃博社長は話す。

 同社のクロスメディア作品としては「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」に続く3作目。「前2作のような、主人公が敵と戦いながら成長していく物語作りに僕自身が飽きてきたこともありました。作り込んだファンタジーを押しつけるのではなく、日常のなかで次々とエピソードが生まれていくような作りです」