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アルゼンチン 国債利払いできない事態に
7月1日 5時34分

アルゼンチン 国債利払いできない事態に
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2001年に債務不履行に陥ったアルゼンチンは30日、国債の利払いの期日を迎えましたが、アメリカの裁判所の決定によって、それができない事態になっていて、今後、30日間の猶予期間に利払いができなければ再び債務不履行に陥ることになります。

アルゼンチンの債務の問題を巡っては、アメリカの連邦最高裁判所が債務の全額の返済を求める投資ファンドの主張を支持する決定を下したことから、アルゼンチンは、投資ファンドへの債務を返済しないかぎり、債務の減額に応じた投資家への利払いができないことになっています。
アルゼンチンは先週、裁判所の決定を無視してアメリカの銀行に利払いに充てるための資金を入金しましたが、ニューヨークの連邦地方裁判所がこれを認めず、銀行に対し、アルゼンチン政府に資金を戻すよう命じました。
このため、アルゼンチンは期日の30日になっても利払いができない事態になっています。
アルゼンチン政府は債務不履行を回避するため、ニューヨークの連邦地裁が指名した仲裁人を通じて投資ファンド側との解決策を探っていますが、30日には裁判所での話し合いの場は設定されていません。
このまま、利払いに設けられている30日間の猶予期間に入るという見方が大勢で、この間に支払いができなければアルゼンチンは再び債務不履行に陥ることになります。

官房長官 米裁判所を批判

国債の利払いの期日を迎えた30日、アルゼンチンではカピタニッチ官房長官が記者会見を開きました。この中でカピタニッチ官房長官はアルゼンチンが先週、アメリカの銀行に投資家への利払いのための資金を振り込んだものの、これをニューヨークの裁判所が認めなかったことについて「アルゼンチンは利払いを行う能力があるのに裁判所がそれを認めないとは前代未聞だ」と述べてアメリカの裁判所の判断を批判しました。
そのうえで債務不履行を回避するため、債務の全額の返済を求める投資ファンド側との交渉を行う用意があることを強調しました。
この問題について、首都ブエノスアイレスの市民は「債務不履行に陥ると経済に大きな影響が及ぶので、そうならないよう政府には交渉してほしい」とか「経済が不安定になって生活が苦しくならないか心配だ」などといった懸念の声が聞かれました。
一方、アルゼンチンの株式市場や外国為替市場では小幅な値動きとなったほか銀行の業務も通常どおり行われ、大きな混乱は見られませんでした。

日本への影響は限定的か

アルゼンチンが再び債務不履行に陥るおそれが高まっていることについて、国内の市場関係者の間では今のところ、金融市場などへの影響は限られるという見方が大勢です。アルゼンチンが2001年に債務不履行に陥った際は、日本でも高い利回りを目当てにアルゼンチン国債を買っていた個人投資家や公益法人などが多額の損失を被りました。
再び債務不履行となった場合、今もアルゼンチン国債を持っていたり、運用先にアルゼンチン国債が入っている投資信託を保有していたりする投資家が損失を受ける可能性があります。
しかし、アルゼンチンは前回の債務不履行のあと、国際的な金融市場で国債を発行できない状況が続いているため、投資家が受ける損害は限られるとみられています。一方、アルゼンチンを巡っては、ことし1月、アメリカの量的緩和の縮小をきっかけに新興国から投資マネーが引き揚げられるという観測が広がったため、通貨ペソが急落し、その余波がトルコや南アフリカなど新興国に拡大し、通貨安を招く事態が起きました。
市場では、こうした事態が再び起きないか警戒が必要だという声もありますが、多くの市場関係者は新興国経済の先行きへの懸念はこのところ後退しているとして、連鎖的に影響が広がる可能性は低いとみています。

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