阿部峻介
2014年6月30日21時55分
「医師や看護師が常駐」とうたった大阪市北区の高齢者向け賃貸マンションの元入居者の男女5人が、マンション側から介護放棄されたなどとして、マンション経営会社や併設の医療法人などを相手に計約3千万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
訴状などによると、マンションは診療所や訪問介護事業所を併設する「ドクターズマンション天六苑」。要介護認定を受けた原則65歳以上の高齢者が入居対象で、2007年6月に開設した。5人は60~90代で生活保護を受けていた。
5人はいずれも寝たきり状態だったが、事業所が提供するはずだった入浴や胃ろうチューブの交換などの介護をほとんど受けられず、脱水症状や腎炎などを起こしていたという。また5人の銀行口座から賃料や共益費以外に計約1800万円が引き出されて使途不明になっているといい、慰謝料や預金の返還を求めている。
天六苑をめぐっては、市が関係者の通報を受けて13年2月に高齢者虐待防止法に基づく立ち入り調査を実施。原告4人を含む当時の入居者9人が介護放棄されていたとして、入居者12人全員を病院や特別養護老人ホームに保護した。市はその後に元入居者への聞き取り調査を行い、9人への虐待があったと認定していた。
被告の医療法人の理事長を務める男性医師は27日、朝日新聞の電話取材に「訴状を読んでおらず、コメントできない」と話した。(阿部峻介)
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朝日新聞社会部
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