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大学職員、教授に教え方を指南 授業支える専門家に

 学生にいかに教え、いかに学ばせるか。自己流の教授たちに大学職員が指南する時代になっている。

 6月下旬の夕刻、追手門学院大学(大阪府)の講師室で、職員の辰巳早苗さんが1時間近く、民俗学の教員と向き合っていた。「先生が一方的に話すよりも学生同士が説明し合うと、学生の深い理解につながるのでは?」。そんな会話が進んでいた。別の日には、授業をのぞいて回る。「板書が多すぎるかも」などとリポートにしてやんわりと提言するつもりだ。

 辰巳さんは、熊本大学の大学院で「教授システム学」を学んでいる。いわゆる「教え方のプロ」を目指すコースだ。職員に指摘されることに慣れていない教授に信頼されるには修士が必要だと考えている。

 来年度から京都経済短大で医療事務などの資格取得に結びつく講座が開設されることになったのも、職員のアイデアだった。発案者は「小規模大学ならではの柔軟さがあった」。

 いま大学職員は、教員を上回るペースで増えている。文部科学省によると、2013年度の職員数は約22万人。03年度と比べ、25%も増えた。

 「スタッフさん」とも呼ばれる事務員から、教授と対等に渡り合う専門家へ。大学職員はいまや、募集倍率が数百倍になる人気職業になった。不安定な研究者として大学に残るよりも、学生を支える職員を目指す方がいい。就職活動中の学生たちの間でそんな発想が少しずつ広がっている。

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