女性の社会進出に関して議論がなされるとき、時折目にする意見がある。「女性の労働参加率と出生率の関係は”正”である。よって女性の労働参加率が高くなるほど出生率が高くなるので女性の社会進出を進めるべきだ」という意見である。
結論を先に述べると、この意見は正しくない。なぜならば、女性の労働参加率と出生率の相関関係は「ない」からだ。つまり、女性の労働参加率が高くなれば出生率が高まるということは言えない。
しかし、色んな政府機関や金融機関などが女性の労働参加率と出生率の相関関係は「正」であると主張をしているのはなぜか。それは内閣府がH17年に発表した国際報告書で使った分布図を根拠にしているからである。以下がその分布図である。2000年のデータでOECD24カ国の分布図を作成している。

結論を先に述べると、この意見は正しくない。なぜならば、女性の労働参加率と出生率の相関関係は「ない」からだ。つまり、女性の労働参加率が高くなれば出生率が高まるということは言えない。
しかし、色んな政府機関や金融機関などが女性の労働参加率と出生率の相関関係は「正」であると主張をしているのはなぜか。それは内閣府がH17年に発表した国際報告書で使った分布図を根拠にしているからである。以下がその分布図である。2000年のデータでOECD24カ国の分布図を作成している。
なるほど、右肩上がりの近似直線が引いてあり一見すると内閣府が文中で説明しているように「女性労働力率と出生率は”正”の相関関係を示している」ように見える。しかし、実際に相関関係があるかないかを判断するには図の右下にあるRの数字を見なくてはならない。
Rは相関係数といい、2乗したR2を寄与率という。一般により正確な相関関係の有無をみるときには寄与率R2が用いられる。おおよその目安は以下である。

では実際に相関係数R=0.55 を2乗した寄与率R2を求めると0.3025 である。この寄与率は目安の中で0<R2<0.5の部類にはいる。つまり、この内閣府の分布図に相関関係は「あるとは言えない」となる。相関関係があるとは言えない以上、内閣府の「正の相関関係を示している」という記述は正くない。
しかし、色んな政府機関や専門家がこの図と記述を根拠にしてしまってるがゆえに、女性の労働参加率と出生率には”正”の相関関係があるので、女性の社会進出を進めようという意見になってしまっているのである。
この内閣府のデータは10年前以上のものであり、より現在に近いデータで分布図を作成してみた。下の分布図は私が2010年のデータでOECD34カ国における女性の労働参加率と出生率の相関関係を調べた図である。

この分布図での近似直線は右肩下がりである。ではこの近似直線が右肩下がりなので女性の労働参加率と出生率の相関関係は”負”であるのかというとそれも正しくない。前述したように、相関関係の有無は図の右下にある相関係数Rを2乗した寄与率R2を見る必要がある。
分布図の相関係数R=0.123を2乗すると寄与率R2=0.015である。この値を寄与度の目安で見ると、0<R2<0.5の中に当てはまる。つまり、分布図で相関関係があるとはいえない。
よってこの分布図でも女性の労働参加率と出生率には相関関係は「あるとは言えない」ことから、右肩下がりの近似直線を見て「女性の労働参加率が高くなると出生率は低くなる」と言うこともできない。両者に相関関係は「ない」からだ。
東猴 史紘
元国会議員秘書
http://ameblo.jp/toukou-fm
Rは相関係数といい、2乗したR2を寄与率という。一般により正確な相関関係の有無をみるときには寄与率R2が用いられる。おおよその目安は以下である。
では実際に相関係数R=0.55 を2乗した寄与率R2を求めると0.3025 である。この寄与率は目安の中で0<R2<0.5の部類にはいる。つまり、この内閣府の分布図に相関関係は「あるとは言えない」となる。相関関係があるとは言えない以上、内閣府の「正の相関関係を示している」という記述は正くない。
しかし、色んな政府機関や専門家がこの図と記述を根拠にしてしまってるがゆえに、女性の労働参加率と出生率には”正”の相関関係があるので、女性の社会進出を進めようという意見になってしまっているのである。
この内閣府のデータは10年前以上のものであり、より現在に近いデータで分布図を作成してみた。下の分布図は私が2010年のデータでOECD34カ国における女性の労働参加率と出生率の相関関係を調べた図である。
この分布図での近似直線は右肩下がりである。ではこの近似直線が右肩下がりなので女性の労働参加率と出生率の相関関係は”負”であるのかというとそれも正しくない。前述したように、相関関係の有無は図の右下にある相関係数Rを2乗した寄与率R2を見る必要がある。
分布図の相関係数R=0.123を2乗すると寄与率R2=0.015である。この値を寄与度の目安で見ると、0<R2<0.5の中に当てはまる。つまり、分布図で相関関係があるとはいえない。
よってこの分布図でも女性の労働参加率と出生率には相関関係は「あるとは言えない」ことから、右肩下がりの近似直線を見て「女性の労働参加率が高くなると出生率は低くなる」と言うこともできない。両者に相関関係は「ない」からだ。
東猴 史紘
元国会議員秘書
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