- 作者: 秋山謙一郎
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/03/01
- メディア: 新書
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Kindle版もあります。
- 作者: 秋山謙一郎
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/05/17
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内容紹介ブラック企業の「経営者側の論理」。
■経営者サイドから見たブラック企業の経営哲学■
長時間労働に賃金未払いを従業員に強い、使い捨て感覚で労働者を酷使するブラック企業。
数々の報道でブラック企業の実態は照らされ、社会問題にもなった。
しかし、その多くが虐げられる側の証言に基づいたものであり、
経営者サイドがなぜ従業員から時間や金、人としての尊厳まで搾り取るのか、声はなかなか聞こえてこない。
そんな現状を打破しようと、気鋭のジャーナリストがブラック企業経営者に
体当たり取材を敢行し、彼らの言い分についてフォーカスしたのが本書である。
なぜ、長時間拘束が可能なのか。
なぜ、約束していた賃金を平気で踏み倒すのか。
なぜ、労働者を使い捨てにできるのかーー。
テレビによく出演しているような「ブラック企業の社長」を観ていると、「ああ、この人は、自分が厳しい状況から頑張って立ち上がってきた経験があるから、『みんなやればできるはず』と考えるようになったのだろうなあ」と感じることが多いのです。
こういう経営者は、勘違いしているとは思うけれど、少なくとも自覚的な「悪意」はありません。
この新書では、そういう経営者ではなく、「効率の良いシステムとして、社員を使い捨てる」ことを、あえてやっている「ブラック企業」の経営者や幹部に取材し、彼らの「テクニック」を公開しています。
「ブラック企業を経営したい!」という人は少ないと思いますし、彼らは社会的には嫌われる存在ではありますが、だからこそ、その「本音」って、あまり伝わってくることがなく、「ブラック企業に勤めている人はかわいそう」という、被害者側からの観点だけがクローズアップされがちなのです。
ただ、世の中には、「経営者側だって大変なのだし……ついていけない社員のほうにも、社会人としての自覚が足らないのでは?」なんていう受け取り方をする人も、少なくないんですよね。
ちなみに、著者は、この新書のために、「延べ100人の経営者に会い、取材に約3年かけた」そうです。
取材を進めるうち、自覚するしないを問わず、ブラック企業経営者と呼ばれる者たちに共通していることがわかった。僕は、この本を読んで、ずっと考えていたのです。
皆、何事も自分に都合よく考える。物事を考える軸は、すべて”自分”である。さも、自分が世界の中心であるかのように考えている節がある。
事業を拡大したい。人を雇いたい。でも、人件費は最小限に抑えたい。都合よく人を使う。だけれども都合よく辞めさせる――。都合よく使われたほう、都合よく辞めさせられたほうの気持ちを考えることはない。
「今は、ひとりひとりが経営者の時代。サラリーマンといえども生き残るのは大変な時代だ」
あたかも他人事のように、平然と言い放つ。
だが、彼らブラック企業経営者は、決して行き当たりばったりな経営を行っているわけでもない。
ブラック企業を経営するやつらなんて、「人間失格」だろう、と。
確かに、彼らはひどいことをやっているんですよね。
「使われる側」からすれば、この本で紹介されている「実情」を読んでいるだけで、いたたまれなくなってきます。
しかしながら、その現場にいる人たちは、必ずしも、そこが「ブラック」だ感じているわけでもないのです。
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