東京都議会で塩村文夏都議(35)にセクハラやじが飛んだ問題で、民主党の山下太郎都議(41)が「頑張れよ」「動揺しちゃったじゃないか」という2つのやじを認めていたことが29日、民主会派幹部への取材で分かった。やじ発言を認めた都議は、自民会派だった鈴木章浩都議(51)に次ぎ2人目。識者は「民主党の隠ぺい体質が見えた」と厳しく批判した。

 山下都議は菅直人元首相の秘書を経て、現在4期目。まだ41歳の若さですでに民主会派の幹事長などを歴任し、現在は団長を務める、まさに中心的存在だ。

 18日の本会議であった塩村議員への一連のセクハラやじが問題化したのは翌19日だったが、民主会派幹部によると20日の同派の会合で山下都議がやじについて説明。ほかの都議からは、やじを認める発言はなかったという。会派の石毛茂幹事長は「塩村都議を応援し、自民党側のやじを制止するための発言だった。女性個人を否定するものではなく、セクハラやじではない」との認識を示した。

 ただ、政治評論家の浅川博忠氏は「応援のやじだったのなら、すぐに“一部のやじ発言は自分だ”と公表できたはず」と指摘し、「応援という言い訳を考えるための時間稼ぎにしか思えない」とバッサリ。さらに「実際は女として子供を産むよう“頑張れよ”という意図で発言したのでは」と疑義を唱えた。

 問題をめぐっては、鈴木都議が「早く結婚した方がいい」とのやじを飛ばしたことを23日に認め、25日の都議会最終本会議でいったん問題に幕引きが図られていた。しかし、浅川氏は「マスコミの取材が進んで“もう隠しきれない”と判断し、やじを認めたのだろう」と推測。「与党の自民党だけが悪者になればよい、と民主党は思っていたのでは」と指摘した。

 塩村都議は山下都議の発したやじに対し「女性蔑視とはとっていない」と問題視しない考えを示唆。一方で「産めないのか」「自分が産めよ」などの発言もあったとして、当事者に名乗り出るよう訴えているが、浅川氏は「自民と民主の痛み分けとなったことで、やじ問題は立ち消えになっていくのでは」と今後を予測。「一連の問題は、東京都議会全体のレベルの低さを印象づけた」と語った。