「イスラム国家」を宣言 反発も6月30日 19時23分
イラクでイスラム過激派組織と政府軍の戦闘が続くなか、過激派組織が既存の国境の枠を超えた「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言して占拠した地域の支配を強め、これに対し、過激派組織に協力している地元の部族などからは反発も予想されます。
イラクでは、イスラム教スンニ派の過激派組織「イラクとシリアのイスラム国」によって占拠された北部などで、政府軍が奪還に向けた作戦を続けていますが、過激派組織も徹底抗戦の構えで、激しい戦闘が続いています。
こうしたなか、過激派組織は29日、インターネット上に音声の声明を出し「組織名から『イラクとシリア』は取り除かれ、正式な名称は『イスラム国』となった」として、既存の国境の枠を超えた「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言しました。
そして、組織の指導者のバグダーディ容疑者について、歴史上、イスラム共同体の最高権威を意味する「カリフ」だとしたうえで、「すべてのイスラム教徒は彼に忠誠を誓い、支持する義務がある」と求めるとともに、占拠した地域の支配を強めています。
イスラム諸国の多くは、29日から断食月ラマダンに入っていて、過激派組織は、イスラム教徒の宗教心が高まる時期にあわせて宣言することで、世界中からさらに多くの戦闘員を呼び集めるねらいがあるものとみられます。
しかし、イラクのスンニ派の地元の部族などは、シーア派を優遇してきたマリキ政権への反発から過激派組織に協力していただけに、今回の突然の宣言に対しては反発も予想されます。
バグダーディ容疑者とは
アブバクル・バグダーディ容疑者は、今月29日、「イスラム国家」の樹立を宣言したイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の指導者でイラク人とされています。バグダーディ容疑者は、人前に姿をさらすことはめったにありませんが、数多くのテロに関わったとして、アメリカ政府などから指名手配されています。
バグダーディ容疑者は、シリアの内戦に乗じて、アラブ諸国や欧米から1万人以上とも言われる過激な思想に染まったイスラム教徒を戦闘員として集めているほか、武器や活動資金をシリアのアサド政権打倒を目指す湾岸の産油国から集めているとされています。
バグダーディ容疑者が率いる「イスラム国」は、いまや世界で最大規模のイスラム過激派組織となっています。
[関連ニュース] 自動検索 |
・ イラク 過激派「イスラム国家」樹立宣言 (6月30日 9時34分) |
[関連リンク] |
|