初音ミク:能楽師と共演 京都で7月4日
2014年06月30日
舞台「ボカロ道成寺」のけいこに励む出演者たち。左が初音ミク役で日本舞踊家の尾上瑞季さん、中央が能楽師の豊嶋晃嗣さん=京都市東山区で、森園道子撮影
若手の能楽師らで作る伝統芸能グループ「京都創生座」が、インターネット上の仮想空間で人気の二次元アイドル「初音(はつね)ミク」と共演する演目を創作し、話題を呼んでいる。日本舞踊家が扮(ふん)する三次元のミクが舞い、人工音声のミクと能楽師が連吟するという、伝統と最先端のコラボレーション。7月4日に京都市東山区で開かれる公演チケットは発売早々に完売する人気で、公演の様子は後日、動画サイト「ユーチューブ」などでも配信予定。
初音ミクは、人間に近い歌声を合成するソフトウエア「ボーカロイド(通称ボカロ)」のキャラクターで、青緑色の長い髪、未来的な衣装をまとった少女だ。インターネット上で人気となり、コンピューターグラフィックスによるミクのライブが国内外各地で開かれている。
演目は、能の「道成寺(どうじょうじ)」を基にした新作「ボカロ道成寺」。恋する男を追って道成寺に来た娘が、蛇となって鐘に巻き付き、中に隠れた男を焼き殺すという安珍・清姫伝説の後日談だ。能のシテ(主役)は清姫の亡霊の白拍子(遊女)だが、清姫と同様の恋の苦しみを体験したミクが異次元から現れ、白拍子を励ますというストーリー。
座長で観世流シテ方の能楽師、片山伸吾さん(46)は「一つの実験。伝統的なものを守りつつ新しいものに挑戦するという古典芸能の守備範囲の広さを知っていただきたい」としている。【野宮珠里】