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セシウム、地下水浸透せず 住民らが汚染土埋設実験 福島・飯舘

廃土を埋める穴に設置された採水管=昨年11月、福島県飯舘村比曽

 福島第1原発事故の元政府事故調査委員長、畑村洋太郎さん(73)のグループは、福島県飯舘村比曽の住民と協働した山林除染と廃土埋設の実験で、土中のセシウムが地下水に溶け出さないことを確かめた。地区の土壌測定などに取り組む住民有志は「安全をさらに調べ、国が行う除染を補完する方法に活用できたら」と話している。

 実験は昨年11月、比曽の農業菅野義人さん(62)の自宅の屋敷林内で行われ、仲間の同菅野啓一さん(59)が小型重機で汚染土をはぎ取った。
 地中の底の粘土層まで深さ約1.3メートルの穴を二つ掘り、汚染土をきれいな土の層で上下から挟んで埋めた(厚さは上20センチ、下40センチ)。穴の底には地下水採取管を入れ、汚染土のセシウムが浸透するかどうかを調べた。
 昨年12月〜ことし1月に4回採水した結果はいずれも不検出(限界値は約1ベクレル)。比較検証で砂の多い土を入れた部分の採取管でも同様だった。土の粒子がセシウムを吸着した結果とみられる。
 もう一つの比較検証として、きれいな土を底に敷かず、汚染土をだけを埋めた部分では、採取管の地下水から1〜2ベクレルのセシウムが検出された。
 畑村さんらは「適度の厚さの土で覆えば、汚染土の下で採取した水から汚染は観測されない」と評価。埋設が地下水やかんがい用水に影響しないかという住民の心配に応える調査を継続する。
 比曽の住民有志は一昨年から放射線専門家と組んで、地区全域の自主的な線量測定や山林除染の実験、農地の土壌測定活動に取り組んでいる。
 菅野義人さんは「汚染土を地元に埋めることに抵抗がある住民も多い。ことしから国の除染が始まるが、はぎ取り効果が薄い場所で追加除染を求める際など、この方法を生かせるのでは」と話す。
 畑村さんは、さまざまな事故の原因と危険回避を解明する「危険学プロジェクト」を主宰。除染後の廃土の処分問題をどう解決するかの視点から実験に携わっている。


2014年06月30日月曜日

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