先日、高知で活躍するフリーランスの方々のお話を聞く機会がありました。超興味深い話だったのでご共有。
高知にフリーランスが多い理由
高知って、案外フリーランスが多いんですよ。これ、すごい意外じゃないですか?特にウェブ、紙のデザインのフリーの方々が多いようです。
以前、福岡に行った際にフリーランサーの方が「福岡規模の都市でも、フリーの人って少なくて、コミュニティがないんですよね」と漏らしていたんです。そんな記憶もあり、「地方はフリーランスがいない」と思い込んでいましたが、完全にぼくの間違いでした。
なんでまた高知にフリーランスが多いのか。これ面白い話なんですよ!
大きな会社がないから
まず、高知には大きな会社がほとんど存在しないことが、一つ目の理由です。
ここら辺は福岡を考えるとわかりやすいですが、福岡くらいの規模だと、規模のある会社があって、その周辺にはそれなりの規模の制作会社、開発会社、デザイン事務所があったりするわけです。それなりの金額の仕事になってくると、フリーランスというよりは、規模と信頼性のある会社に仕事が流れていくわけですね。
一方で、高知では、大きな発注を行う企業も少なければ、それらを受託する制作会社も少ない実態があります。ゆえに、仕事がフリーランスに直接流れてきます。予算規模の大きい仕事自体が少ないので、その分、わざわざ会社化するメリットも少ないのでしょう。法人を持っていても、一人株式会社、ふたり株式会社、といった規模のようです。
実際、総務省の統計表(PDF)を見ると、高知は雇用者数における「小規模企業」の比率が山梨(28.5%)、和歌山(28.1%)についで第三位(27.9%)です。なるほどたしかに、小さな会社のオーナーさんが多い印象をすでに抱いています。
そういった背景があるので、高知はフリーランスに仕事が流れやすい状況が整っているわけですね。全体の流量は少ないですが、大きな制作会社とかがない分、人間関係のなかを仕事が流通していく現状があるようです。
正社員の給料が低いから
よく知られている?ことですが、高知県は平均年収で全国ワースト1を記録した土地です。今は幾分浮上しているようですが…。
47都道府県のうち、1人あたりの県民所得が最も低いのは沖縄県だというのが、これまでの常識のようなものだった。ところが、このほど発表された09年度の各県の経済状況に関する統計によると、46位だった高知県が最下位に転落することが確実になった。
話を聞くに、民間のサービス業に勤める方々は、正社員であっても手取りが10万円代前半、それどころか「手取り一桁万円」ということが普通にあるとか…。
そうなってくると、「正社員で働く」というよりは、時間と場所の自由がある個人事業主の方がいいじゃないか、という判断が働くわけです。前述するように、手に職を持っているフリーランサーが働けるような会社も少ないですし。
デザインに対する意識が高い
ここら辺は持論になりますが、高知の人々って、デザインに対する意識が非常に高いんです。紙のデザインとか、サイトデザインとか、マジで超キレイなんですよ。枚挙に暇はありませんが、たとえば「土佐山アカデミー」「しまんと住民プロダクション」「馬路村農協」なんか、地方発とは思えないクオリティ。土佐山、馬路村あたりは人口1000人くらいの中山間地域ですからね…。
馬路村のバッグ「monacca」とか超オシャレです。これほしいなぁ。「村」発ですよ、これ。銀座のバッグメーカーとかじゃなくて。
歴史をたどると、デザイナーの梅原真さんのDNAが受け継がれているそうです。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」などでも特集されているクリエイターです。
デザインってやっぱり、「個人のセンス」が問われる仕事なわけじゃないですか。もちろん集団でデザインしていくアプローチもありますが、それでも個人の顔が見えやすい仕事の領域なわけです。デザインへの意識が高いということも、フリーランスが生きていきやすい土壌を作っているんじゃないだろうか、と感じております。フリーランサーを「職人」として認めてくれている、というか。
高知でもフリーランスとして生きていきます
高知で仕事をしていくにあたって、「代表取締役」の名刺を持っておいた方がいいのかなぁ、とも思っていたんですよね。移住前に。
でも、現役フリーランサーの方々の話を聞くに、その必要性はないことがわかりました。当面は会社を創ることはせず、個人事業主でやっていきます。うちは売上規模500〜800万円程度の事業者なので、個人事業主の方が色々ラクなんです。
フリーランサーの方々は、ぜひ一度遊びに来てみるといいと思います。ウェブ系のクリエイターコミュニティ「ウェブクリエイターズ高知」なんかもあるので、コミュニティには入りやすいと思いますよ。
お試し移住もできます。
高知県はお試し移住用の物件をいくつか用意しています。土佐山アカデミーのシェアハウスも安価に利用できますので、気になる方はぜひ。土佐山アカデミーは起業家向けの新しいプログラムもリリースしたばかり(6ヶ月間、高知に無料で滞在できる!過疎地特化型・起業家養成プログラム「EDGE CAMP(エッジキャンプ)」が熱い!)。受け皿どんどんできてますよ〜。
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