チャランポランナーの独白

ごくごく普通の人による、これといってスゴイことが何もないブログです。

(追記有)公安九課的思考から考える『Facebook、SNSにおける情動感染実験』について

昨日、攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears を見たたため、頭の中が公安九課的(厨二病!)なチャランポランナーです。

攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears

http://www.b-ch.com/contents/feat_koukaku/

 

午前中、『FacebookSNSにおける情動感染実験』についての記事を見た時にしたツイートが以下の3つです。

 

 

個人的には、この記事をもって、気持ち悪いとか、この実験中に見おとした投稿があったとか、そもそも倫理的な問題があるとか、ポジティブな記事をアップし続ければプラスの連鎖が生じるね!的なことには全く興味がありません。

 

考えたのは、これを利用して何ができるか?これを発表したFacebookの意図はどこにあるか?これを見た時に国家の危機管理担当官は何を思うか(厨二病!)しか考えませんでした。

 

Facebook、ユーザー約70万人のニュースフィードを操作した実験結果論文を発表

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1406/29/news007.html

元論文

Experimental evidence of massive-scale emotional contagion through social networks

http://www.pnas.org/content/111/24/8788.full

 

 

この実験のポイントはこれです。

 

この実験で、Facebookは68万9003人の英語を使うユーザーを抽出し、ニュースフィードのアルゴリズムを操作して、ポジティブな言葉を含む投稿の表示を減らした場合のユーザーの投稿にネガティブな言葉が増えるかどうか、その逆の場合はどうかという実験を行った。

 

  1. ニュースフィードの表示は、Facebookの意思で操作が可能
  2. 特定の単語、組み合わせ、文意でコントロール可能
  3. それによって、大規模に情動を操作することができる(論文のタイトルが「ソーシャルネットワークにおける大規模情動感染に関する実験的証拠」)

つまり、オレっち(FB)になんか不利益なことをやると情動操作してお前を潰すぞ!っていうメッセージと捉えることができます。しかも、これはエビデンスなので、実際にできるからな!コノヤロー!!って言っています。

 

法的な問題や倫理観なんでどうだってよく(よくはないけどね)、自分たちでアルゴリズムをいじってしまえば、利用者に悟られること無く実施が可能だということです。だいたい、アルゴリズムなんて開示されてもいないわけですから、そもそもどーなっているかなんで中の人以外わからないのです。

(とても乱暴なことを言ってしまえば、最近の仕様の変更でファンページの投稿は広告費を出さなければ”いいね!ユーザー”のフィードに表示されにくくなっていますが、Facebookがもっと広告費を出させるために、その係数(表示される確率?)を企業ごとにいじっていたとしても誰にもわからないわけです)

 

取り方によっては、これはアメリカ政府に宣戦布告しているとも言えます。なぜならアメリカでは、国民の半数以上がFacebookを使っているという統計データがあります。今回の実験では70万人という限定的な人数でしたが、これを全数でやることが可能ということです。何かあれば、コントロールしちゃうとよー、と。

 

世界の6人に1人が8時間利用するFacebookの驚異

http://blogos.com/article/79977/

 

今回は英語という言語で実施されていますが、おそらくはどの言語でも可能なのではないでしょうか。もちろん、苦手な言語や利用率が低い国では効果が薄れるので、現実的ではないかもしれません。

 

公安九課的思考から考えるともう1社危ない会社がありますね!そうです、人工衛星まで手に入れようとしているあの会社です!!

 

「米グーグルの解体検討も」、市場での支配的地位に懸念 独法

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140629-00000038-jij_afp-bus_all

 

これは独占禁止法な側面から話をしていますが、危機管理的な側面からすれべ1企業にWEBの検索というものを全て握られているというのはとても危ない状態です。

 

Google「ロリ」検索結果に変化 表示数回復、中小サイトもヒット アルゴリズム調整か

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1406/20/news109.html

 

先日あったGoogle「ロリ」問題ですが、社会的な問題について行われれば社会的意義のあることですが、特定の事件や問題、人物に対して行われればそれがあたかも存在しないようにすることが可能になります。(しかし、ここで登場するSEO専門家の辻さんは、この書き方だと常に「ロリ 巨乳」や「ロリコ ン」「ポロリ」とかをヲチしている人に読めてしまう。可哀想だw

 

中国のネット検閲

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E6%A4%9C%E9%96%B2

 

例えば有名な中国のネット検閲ですが、もちろん国家と1企業でどちらが危ないか?という議論はあるでしょうが、1私企業が自分の私利私欲で検索結果というものをコントロールし始めたら、しかもそれが誰もしらないうちに行われたとしたらどうなるかは考えて見る必要があります。

 

多分、現時点での日本では、腐った国家に統制されるより、グーグル先生を信じてる!!的発言が多くなると思いますが、往々にして、独裁とは市民の求めに応じて誕生し、独裁が成立してからその誕生を恨むというのが人の常でありましょう。

 

逆の言い方をすれば、Facebookにしろ、グーグルにしろ、それを利用して自分(個人かもしれないし、政党かもしれないし、諜報機関、国家かもしれない)の利益のために利用する人が現れる可能性は頭のどこかにとどめておいた方がいいのではないでしょうか。

 

最後に厨二病らしく、『銀河英雄伝説』の登場人物。ゴールデンバウム朝銀河帝国初代皇帝 ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムについて一節を引用して終わりたと思います。

同296年、28歳にして少将になっていたルドルフは軍籍を退いて政界入りし、国家革新同盟のリーダーとして自らの人気の元に若い政治家を集め政治的手腕を発揮、勢力を伸ばし、やがて独裁政権を確立した。 その後、不文律によって兼任を禁じられていたが、憲法に明瞭な禁止規定がなかった点を衝いて銀河連邦首相国家元首を兼任することで強大な権力を掌握し、さらに終身執政官を自称するようになる。

同310年(帝国暦元年)に至って自ら「神聖にして不可侵たる」銀河帝国皇帝ルドルフ1世を称し皇帝に即位し、ゴールデンバウム朝銀河帝国を興して、人類の統一政体における最初の君主となるが、当初それを後押しして快哉を叫んだのは民衆自身であった[1]

  1. ^ これは堕落した民主共和政が専制政治を産み出す最良の土壌となるという皮肉な例証である。君主政治が遠い過去の事となり、専制政治への民衆の危機意識が希薄な時代でもあった。

 

ではではー

 

 

■以下追記

 

釈明がでましたね。

Facebook、無断で行った情動感染実験について謝罪・釈明

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1406/30/news044.html

この記事中でも “公式な説明”とコーテーションがついている通り、会社からの公式な説明ではありません。つまり、会社としてはアダム・クレイマー氏個人の見解と逃げることができます。

 

以下の引用にある通り、0.04%の実験で効果検証ができ、完全に非表示にさていなくても(友人のタイムラインに表示されていても)情動のコントロールは可能であるといっております。

 

この実験は2012年初頭に行われたもので、ニュースフィードの操作の対象となったのは全ユーザーのわずか0.04%(2500人に1人)であり、実験実施期間はわずか1週間、投稿は完全に非表示になったわけではなく、友達のタイムラインには表示されていたと釈明した

 

さらに

 

問題になっている実験は2012年に実施したもので、われわれは当時よりかなり成長した。

 

現在は、もっと上手にできるとも言っており、とても自信があることが表明されております。

記事内では下記が問題と言っていますが、この点は問題の大きさから考えるととるに足らない問題で、アダム・クレイマー氏も全く問題にしていないのであります。

ユーザーや多数のメディアがこの実験について問題にしているのは、被験者の人数や実験期間ではなく、インフォームドコンセントの手順をとらず、ユーザーに無断でFacebookがユーザーを“モルモットにした”ことなのだが、この点については謝罪していない。

 

はたして”モルモットにする”ということは範囲がどこからどこまでなのか?WEB上のABテストはユーザーをモルモットにしていないのか?など色々な疑問がわきますが、Facebookを含めたIT系プラットフォームはユーザー個人に気づかれることなく様々な実験を日々繰り返しているわけで、そこにいちいち目くじらを立てていては便利に使用することはできません。

 

ただ、それを1私企業が大規模に人をコントロールできる状況にあるのを見過ごしているのは、やはり危機管理的には危ない状況にあると言わざるをえません。

 

今日も朝から 厨二病

 

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

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