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カネを活かす

2014.06.24

会社がつぶれる初歩的な理由

清水 亮

プログラマーが経営に成功する理由

プログラミング IT 学習 経営 ビジネスモデル 失敗 オーナー 成長戦略

働かない社長、無駄遣いする社長

昔の知り合いと会い、話をした時のことです。彼女は一度転職した後、そこから別の会社に転職し、また転職を考えているのだと言います。私は驚きました。

彼女が以前の会社を退職したのは、わずか1年前だったからです。その間に2度も転職を経験したというのです。

いったいどうしてそんなことになったのか、話を詳しく聞いてみると、ああなるほど、ということが分かりました。

1つ目の会社は、社員数名のスタートアップ企業でした。社長が強力なコネを持っており、次々と大きな仕事が来て、年々売り上げが増加していたそうです。

だったら何の問題もないじゃないかと思われそうですが、この社長、決定的にお金の勘定が苦手だったようです。

例えば1000万円の仕事が来たら、500万円で外注を雇い、500万円で新車を買ったり、意味のない海外旅行に出かけたりしてしまうのだそうです。

その結果、売上げは上がっても、お金はどんどん無くなっていきます。なぜなら外注費と売上げの差分をまるごと無駄遣いしていて、給料その他のことは全く考えていないからです。

その結果、年に何億という売上げがあるにもかかわらず、会社の預金講座には常に数十万円しかないという異常な経営状態が続いているそうです。

普通ならすぐにつぶれるのですが、なまじ見た目の売上げがあるため、まだお金を貸してくれる(貸してしまう)人がいるらしく、なかなかつぶれません。借金だけが膨らんで行く構図です。

そういう状況が嫌ですぐにまた転職をしたそうなのですが、次の転職先は更に問題で、やはり社長を含め社員数名の会社だったのですが、社長が全く働こうとせず、社員全員が退職願いを届けるという事態に発展したそうです。

資金繰りも税理士任せ

よく、会社を経営すると、5年以内に50%、10年以内に90%以上の会社がつぶれる、という噂を聞くことがあります。

私はどうしてそんなことになるのだろう、やはり起業というのは厳しいのだな、と思っていたのですが、どうも実際にやってみると様子が違うことに気付いてきました。

私の友人、知人でもこの10年の間に会社を興して、そして残念ながらつぶしてしまった人が何人もいます。その理由の多くは、とても初歩的なことなのです。

あるとき、IT系ベンチャーを起業して3年ほど経った私の友人が、「会社がやばいから相談に乗ってくれ」と言ってきました。

私は彼の会社に行き、「現金はどのくらいあって、月々の収入と支出はどんなバランスになってるの?」と聞きました。

すると驚くことに、彼はそれらを全て紙のノートにメモしていました。しかも、全てがメモされているわけではなく、うろ覚えの情報や、あやふやな情報は全て頭の中に入っていました。下手をすると請求書を出し忘れていて本来もらえるべきお金も回収していないことも分かりました。

「え、どういうこと?経営計画を書いたエクセル(表計算)のデータはないの?資金繰り表とか」と言うと、「そういうのは全部税理士に任せてるからここにはない」と言うのです。

いやいや、資金繰りというのは税理士に任せてはいけない部分です。もちろん、資金繰りが分からなければ税理士さんもアドバイスのしようがないので、税理士さんが資金繰りを見ているというのは分かります。

しかし、自分で資金繰りを管理しなければ、結局どんな仕事をいつまでにどれくらいやればちゃんと給料が払えて黒字が出せるのか分からないということになります。

(次回に続きます)

Image (c) alexmina - Fotolia.com

プロフィール

清水 亮 (しみず りょう)

ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長CEO。1976年新潟県長岡市生まれ。6歳の頃からプログラミングを始め、16歳で3DCGライブラリを開発、以後、リアルタイム3DCG技術者としてのキャリアを歩むが、21歳より米MicrosoftにてDirectXの仕事に携わった後、99年、ドワンゴで携帯電話事業を立上げる。'03年より独立し、現職。'05年独立行政法人IPAより天才プログラマーとして認定される。