内田樹氏「慰安婦問題、日本は抗議する権利がない」

内田樹・神戸女学院大名誉教授インタビュー

―血縁・地域社会のような共同体の復活が必要なのか。

 「過去のような血縁・地域共同体を復元するのは難しい。新たなタイプの共同体をつくるべきだ。まだ成功モデルはない。さまざまな目的、構成、サイズの共同体を同時多発的に企画し、実践することが重要だ。私が建てた凱風館は『道場共同体』で、一種の実践だ」

―安倍政権は集団的自衛権の導入など右傾化している。

 「憲法解釈を変更し、集団的自衛権を導入することは国の根幹を揺るがす憲法違反だ。日本の政治は独裁へと向かっている。(連立政権である)自民・公明両党が国会の議席の多数を占める中、立法を目指した法案の97.5%を可決した。立法府が機能を発揮できずにいる。過去20-30年間、テレビに出た有名人、世襲政治家を国会議員に選んだ結果だ。安倍首相は政治家一族出身でなかったならば、サラリーマンにすぎなかった人物だ。日本で識見を持ち、尊敬されるような政治家はほとんどいない」

―安倍政権が慰安婦の強制動員を認めた「河野談話」の検証結果を一方的に発表し、最近韓日関係がさらに悪化した。

 「日本軍の慰安婦は明白な戦争犯罪だ。国家が犯した犯罪は無限責任だ。韓国が今後50年、100年批判を続けたとしても、日本は抗議する権利がない。加害者は被害者が『やめてもよい』というまで謝罪を続けなければならない。ドイツはそうしている」

―韓国社会に対する印象は。

 「韓国も日本と似た政治・社会的問題がある。しかし、韓国は困難に直面しても、病気にはかかっていないように思う。日本は深刻な病気にかかっている」

李漢洙(イ・ハンス)記者
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