内田樹氏「慰安婦問題、日本は抗議する権利がない」

内田樹・神戸女学院大名誉教授インタビュー

 神戸女学院大の内田樹名誉教授(64)の名刺には「合気道師範、凱風館館長」という肩書きがある。合気道は7段の腕前で、25歳の時から39年間、週6回稽古した。内田教授は「凱風館は私が建てた道場だ。250人が稽古している」と紹介した。

 韓国の大学で講演するために訪韓した内田教授は25日、朝鮮日報のインタビューに対し「武道と学問の研究には共通点がある。師匠がいなければ成長できないことだ」と述べた。

 内田教授は2005年、若者が学業や仕事から逃避する現象を分析した著書『下流志向』で日本社会に衝撃を与えた知識人だ。最近は安倍政権の右傾化を批判する講演活動などを活発に行っている。韓国でも『下流志向』をはじめ、複数の著書が翻訳出版されている。

 「教育に市場原理が導入されれば、学生はできるだけ少なく勉強することが利益だと考えるようになる」

 内田教授は「若者の下流志向は個人の問題ではなく、構造的な問題だ」と語った。

 『下流志向』は努力しない日本の青年の実態を告発した。今もそのままなのだろうか。

 内田教授は「本を出版してから10年がたった現在、状況はさらに悪化した。私の本の主張は、学校教育に市場原理を導入し、教育が崩壊したという点が中心だ。学生は市場原理によって、最も少ない努力で最大限の効果を得ようとする。教育に競争原理を導入したことで、学力が低下した」と嘆いた。

 以下、内田教授との一問一答。

―競争が学力を低下させるのか。

 「日本で最も学力競争をさせるのは大阪だが、学力水準は一番低い。学校を株式会社のように運営すべきだと考える人は、国家の未来に対する考えがない。競争を促せば短期間は効果があるかもしれないが、全体の学力は低下する。助け合い激励しながら尊重することが発展には必須だ」

―助け合う共同体? 理想的な話に思えるが。

 「いや、現実的な話だ。大阪地区の一部の学校はビジネスマンを校長に招いた。1000人の志願者から11人を選抜したが、うち6人が暴力、わいせつ、横領などの事件を起こした。教育を民間企業のように運営することが完全に失敗だったことを示している。学習努力を通じ収益を得るのが自分だけであれば、努力をしてもしなくてもよい。自分が努力しなければ、周囲の人が困る場合、人間は努力するようになる。これはリアルな話だ」

李漢洙(イ・ハンス)記者
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